ツルツルの十割 「蕎麦匠房 まくらぎ」さん(東吾妻町)

 今週の月曜日、ストレスの巨塊と化した私は、リフレッシュも兼ね、朝から単独で吾妻谷を遡上。いつもの山へ遊びに出掛けました。

 お目当てはサンショウやキイチゴなどの採集。とりわけ、キイチゴは、口の中に広がるほのかな酸味と素朴な甘みが堪りません。現地でたくさん生食させて頂きました。甘い物が大好きなクマさんがエサにしているのも頷けます(なお、私はクマさんのお友だちではありません )。

 森の中でのんびりしていたら、すでに時刻は正午過ぎ。そこで、私は意を決して、以前から気になっていた浅間隠温泉郷の「蕎麦匠房 まくらぎ」さんに出掛けてみることにしました。


 (国道沿いのあちこちに大きな文字で「十割そば 旅籠」などと書かれた看板を見掛けるけど、いったいどーなんだろ?)


 国道406号を西進し、須賀尾集落へ。かつて同地は中山道を高崎から分岐して信州方面に伸びる脇街道(信州街道)の宿場町として栄えた歴史的集落です




 須賀尾宿(1) 
須賀尾宿は中山道の脇街道、信州街道の宿場です。
 




 須賀尾宿(2) 
街道(現在は国道406号)の両側に細長く立ち並ぶ民家が往事の宿場の様子を今にとどめています。また、街道沿いの各民家が看板で屋号を掲げています。



 信州街道須賀尾宿の案内板
 中山道は、とりわけ上州-信州間の碓井峠がけわしく、交通の難所とされました。そのため、比較的なだらかな信州街道が活発に利用されていたようです。




 須賀尾宿の宿割り
 上の写真の下部を拡大して撮影。酒屋や菓子屋、笠屋など、一定の分業体制が成り立ち、宿場機能を担っていたことが分かります。




 須賀尾集落付近の風景(1)
 東吾妻町は群馬県内有数のコンニャクイモの産地として知られています。


 須賀尾集落付近の風景(2) 
温川本流の左岸側の河岸段丘上の畑にショウブがキレイに咲いていました。観光施設ではなさそうです。
 

 須賀尾集落の西端を左折し、温川支流に架かる橋を渡ると、温泉地が見えて参ります。まず手前が鳩ノ湯温泉(三鳩楼)さんで、その奥が今回お邪魔した薬師温泉(かやぶきの郷 薬師温泉 旅籠)さん。両温泉とさらにもう一つ、温川温泉(白雲荘)を加えた3つの温泉を総じて「浅間隠(あさまかくし)温泉郷」と言います。なお、「浅間隠」とは、つい最近、小規模な噴火活動が報じられている浅間山の東腹にそびえ立つ浅間隠山(1757m)を指し、これらの温泉が同山の山懐に抱かれていることに由来した命名です。


 その昔、勤務地が近かったこともあって、こちらには日帰り入浴で何度も足を運ばせて頂きました。婚約を決めた際、身内を鳩ノ湯温泉さんに集め、まだ若かった妻を紹介させて頂いたり、また高校時代の友人と夜を徹して飲み明かしたり、私にとって浅間隠温泉郷は人生の想い出の地でもあります


 でも、薬師温泉さんには、今まで一度も足を運んだことがなく、今回が初めての訪問。大型バスも入れそうな広めの駐車場は車を休ませた後、温泉の玄関口らしき門に向かいました。


 (おそらく温泉旅館の一角でそば屋さんが細々と営業しているんだろう

 でも、それは大きな勘違いでした



 薬師温泉長屋門
 写真が右に偏りすぎてしまいましたが、とても豪華な玄関口でした 東北地方の庄屋や豪農の古民家を支え続けた古材を主柱に用いた合掌茅葺切妻造で建てられたそうです



 門をくぐってそば屋さんに向かおうとしたところ、門番の若いお兄さんに呼び止められました。


 店員さん「いらっしゃいませ!」

 
 磨人「そばを頂きたいだけなんですけど・・・」

 
 店員さん「こちらで入場許可証をお渡ししております。どうぞ!」

 
 磨人「・・・

 
 店員さん「おそばは階段を降りて正面右側です。いってらっしゃいませ!」



 何と、長屋門がこちらの入場口になっていました。どうやら、こちらは単なる温泉宿泊施設ではなく、温泉を中核としたテーマパーク、つまりレジャー施設となっている模様。「かやぶきの郷」という名前が付けられ、文字通り、茅葺き屋根の古民家も。その他、時代物の古民具を展示するコーナーやアートギャラリー、土産店なども。

 テーマパークにも温泉にも入らない私は、紐の付いた入場許可証を手に持ち、そのまま階段を降りました。




 入場許可証
 なお、テーマパーク「かやぶきの郷」へは、別途入場料がかかります。



 降り立った先は、木造家屋に取り囲まれた広場でした。枕木が敷き詰められていることから、「枕木広場」と命名されているようです。広場では、平日の昼間にも関わらず、若くて熱々のカップルが仲むつまじくフラフープに興じていました。




 枕木広場
 山懐の静かな空間でした。一角にレトロな消防車も展示されていました




 色んな遊具
 羽子板もありました。




 関口コオ切り絵版画展
 階段を降りてすぐ右側のアートギャラリーで開催されていました。無料で見学できるそうです。




 恵比寿天
 お恵比寿様を発見。相変わらず、とても良い表情をしています



 さて、肝心の「蕎麦匠房 まくらぎ」さんは、文字通り、枕木広場を取り囲む古民家風の木造家屋の一角にありました。




 「蕎麦匠房 まくらぎ」さんの店舗の佇まい 
白い暖簾がピッタリの渋いお店でした。




 早速、暖簾をくぐると、目の前に渋い店舗に全く似付かわしくないものを発見。それは食券の自動販売機でした  




 「蕎麦匠房 まくらぎ」さんのメニュー ざるそば(700円)は二八だそうです。



 ちょっとガッカリしつつ、今回は数量限定の十割ざるそば(800円)を注文。他にも、旨そうな天ぷらを揚げてもらえそうなのですが、やっと履けるようになったズボンが最近キツくなってしまったため、ここはガマンしました




 店内の様子
 純和風の情感漂う、とても良い感じのお店です。



 早速出来上がり。




 十割ざるそば
 十割なのに800円。安い なおおかわりはプラス400円です



 すると、配膳してくれた店員のお兄さんが私にアドバイスを一言。

 「(十割は)麺がくっつきやすいので、お早めにお召し上がり下さい




 十割ざるそば(拡大)
  エッジの鋭い、美しい細打ち麺です。




 十割ざるそば(さらに拡大) 




 薬味
 刻みネギとおろしワサビでした。




 そばつゆ
 私好みのキリッとした辛口でした。



 見た目的には、細打ちながらもエッジが鋭く、太さも揃った美しい麺。こちらで職人さんが毎朝手打ちで製麺されているそうです。すばらしい 


 最初は、麺を数本箸で摘まみ、香りを確かめる。


 (うーーーん、今ひとつピンとこない感じ)

 

 次に、いかにも辛そうなつゆに麺を付けて、一気にすすり、息を鼻孔から抜く。


 店内に電動式の石臼があって、製粉まで行っているようなのですが、そのわりにはそばの香りは弱めでした。もちろん、甘皮部分を豊富に挽きくるんだ田舎そばであれば、話は違ってくるはずです。

 麺の表面がツルツルしているため、つゆの絡み具合がイマイチかな?


 それでも、細いわりに弾力が強く、飲み込んだ途端にスルリと喉元を滑り落ちる麺の食感は見事でした


 食後に頂いたそば湯は、容器に大量に入っていました。そばつゆで割って頂いた後、そば湯だけで3杯も飲んでしまいました




 そば湯
 ストレートで3杯頂きました。



 次回立ち寄らせて頂く際には、ぜひ田舎そばを注文させて頂こうと思います。


 最後に、今回は入浴できませんでしたが、気になるこちらの温泉についても紹介させて頂きます。

 

 +*+* 磨人メモ:薬師温泉 *+*+


 薬師温泉は浅間隠山の山懐の同地に200年以上も前から自噴している天然温泉です。伝説によれば、寛政5(1793)年に旅の行者温泉坊宥明が発見したと伝えられています。滝見乃湯と郷の湯は日帰りでのご入浴にもご利用いただけます。

 なお、泉質・主な効能は次の通り。

【泉質】 自噴天然温泉 温度:42.8度(中性低張性高温泉) ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩温泉 PH値6.5


【効能】 神経痛 筋肉痛 関節痛 五十肩 運動麻痺 関節のこわばり うちみ くじき 慢性消化器病 痔疾 冷え性 病後回復期 疲労回復 健康増進 きりきず やけど 慢性皮膚病 虚弱児童 慢性婦人病 動脈硬化


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 今回は以上です。ご訪問頂き、ありがとうございました。

 こちらのそば屋さん、静謐な山間の温泉と一体化した観光施設的なお店です。でも、観光地のそばだからといって、決して侮れません。関越自動車道渋川伊香保ICから車で1時間余りかかりますが、ドライブにも最適ではないでしょうか?