ときめきが続く、お花の定期便bloomee(ブルーミー)

 

 換気扇から入ってくるタバコの臭いは、一体どこから来るのか。それを突き止めるための執念の調査が明らかにしていく、住人たちの多様な人生模様。

 

 同じフロアには7世帯が暮らしていて、そのうち家族と呼べるのは3世帯です。そのどれもが、車や家のCMに出てくるような両親と子どもたちでないところが、さすが限界マンションです。

 

 残り4世帯のうち2世帯は、夫に先立たれたらしい高齢女性です。そしてあと2世帯は独身男性。一人は中年で、もう一人は高齢の入り口に立っているぐらいの世代です。

 

 高齢女性の一人暮らしと中年男性の一人暮らし。ここから日本の、いや発達した社会の未来が見えます。誰もが結婚できた時代は、はるか昔に終わりました。日本の高度成長期は、真面目でさえあれば、どんな男性も結婚できた稀有な時代だったのです。

 

 最近、小田急線内で女性を刺した男がいましたね。36歳です。10代の頃からモテて、そこそこの私大の理工学部に通っていたのが、中退を機に人生が暗転したようです。

 

 非正規職を転々とし、出会った女性に相手にされず、勝ち組風の女性を逆恨みするようになったとのことです。かつてモテていたことに、最後の拠りどころを求めていたのかもしれません。

 

 苦労している同世代はたくさんいるし、とんでもない話です。でも彼とて、人生が途中で暗転することを予想できなかったでしょう。格差が拡大する中、一度歯車が狂うと、容姿も人並み以上で中流生活ができたはずの男性が犯罪者になってしまう。これは恐ろしい話です。

 

 80年代以降、女性の意識が高まって慌てて結婚しようとしなくなったんですよね。その結果、「結婚の規制」が緩和され、「恋愛市場における自由競争」が始まったわけです。つまり、男性は選ばれなければおしまいということです。

 

 高学歴でも、もはやそれだけでは選ばれません。高収入でもダメです。肝心なのは開かれた意識とコミュニケーション力、一緒にいて楽しいかどうかという個人の魅力です。そうでなければ結婚しても離婚が待っています。

 

 まぁこう言うのもなんですが、同じ階で暮らす二人の独身男性は、そういう点ではうまくいかなかったと思われます。高齢世代になりかけの方の人は、恐らく元ミュージシャン。今は拾ってきた猫と暮らしています。

 

 結婚しようがしまいが個人の自由です。ただし全ては自分が選び取った、自己責任の人生ということになります。完全な自由とはそういうことですから。規制が人間を守るということもあるわけですよ。

 

 90年代以降のグローバル化と規制緩和の波は、どの業界にも激しい競争をもたらしました。タクシー業界もその一つです。選ばれるために低価格競争を強いられつづけ、今度はアプリを使って個人が行う「シェアタクシー」に仕事を奪われつつあります。

 

 でも消費者は少しでも安くて便利な、自分にとって楽しい方を選ぶだけ。結婚もそうなりつつあります。それでも女性はまだ、一人でも友人を見つけて楽しく暮らすことができます。

 

 しかし、男性は本来が社会的生物で、女性とペアを組むことによって初めて存在意義が生まれます。だからこそ小田急線での刺殺犯は、とことん女性にこだわったのでしょう。

 

 話が広がってしまいましたね。いやぁもう本当に、このマンションは現代日本の縮図ですよ。ニュースで見たり聞いたりしていた社会現象が、いま私の眼前に起きているのです。おかげで時代遅れにならずにすみそうです・・・と考えるしかないか。

 

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