今回はフレイト(運賃)の話をしましょう。オーナー(船会社)がどうやってフレイトを決めているか。これには二通りあります。まずは航海日数、バンカー(燃料)の消費量、各港で掛る費用、そしてHire(船の管理費、船の持ち主に払う傭船料など)から算出し、オーナーが必要とする値段(勿論オーナーの利益も含む)。もう一つはマーケットの値段。例えでいうと、環七のラーメン屋街で10店ある内7~8店が大体¥700で一杯出してるとします。しかし、ある店は少し品質の良い鶏ガラを使っているので¥1200は欲しいと少し値段を高くしてます。大多数のお客さんからしたら品質の良い鶏ガラを使ってても、¥1200は高いし余り違いが分からない。だったら¥700のラーメンでも満足だしお客さんの足並みはそちらに向かいます。
その心理と同じで、似た条件の船がそのInquiryに対して複数あるのであらばChartererはトレーディング利益をより出すために一番安い運賃を選ぶのが自然だと思います。あとは微妙な船のスケジュールだったり、Chartererに与えられるオプションのクオリティーだったりで判断し成約していきます。
前回出てきた蔚山からヒューストンに動くBenzeneというカーゴは積んだ日から到着までに値段が著しく上がったり下がったりするので儲けるには船を成約した時のスケジュールに近い運航が重要で、予想以上に遅れられるとトレーダー達は大損害を起こしてしまう大変危険なトレーディングなのです。オプションのクオリティーとはいくらかは運賃が高めだが、ヒューストン到着がかなり堅いとか、ヒューストンにいくまでの間に寄り道が少ないとか、オーナーがこのビジネスをちゃんと理解してて遅れを最小限に抑えるオペレーションを心掛けてくれているかとか様々です。要するにトレーダー達が勝てる結果を導いてくれるオーナーが商売の要になりますね。ただフレイトが最初からべらぼうに高いとクオリティーがよくても儲けられませんよね。