先程父のワクチン接種に行ってきた。

母は同じ日の午後からだが、ついて行くと言うので何か手伝ってくれるならと3人で一緒に行った。


実は母が一緒に行くと言い出した時、父は嫌がった。


母は勝手にどんどん行ってしまったり、わかっているのかとついて行くと全く見当違いだったりた、とにかく余計なことしかしない。

いつも気を利かせてやろうという行動が全て間違っているのだ。


でも、ただついて行くだけだし、場所や雰囲気がわかったら大人しくしてくれるだろうと思ってじゃあ一緒に行くか、となったのである。


遅刻は許されないので早く着いてしまうのは仕方ない。

そのつもりで、杖で歩き、病気も持っている父のために、疲れさせないようイスを持っていった。


折り畳めない丸椅子だが、折畳み椅子は立ち上がる時不便なのでこれを持っていくことは前から決めてあった。


9時半予約だが、8時40分頃ついてしまった。


入口はどこだと探していたら、建物から帰ってくる人がいる。

話しかけると、同じ様にワクチンを打ちにきたご夫婦だった。


9時にならないと建物が開かないので、それまで車で待っていることにしたらしい。

そのことを父と母に伝え、私たちも車で待とう伝えた。

二人がウロウロしている間に入り口に近い駐車スペースに止め直そうと走って車に向かうと、母はこっちだから、と椅子を持ってどんどん別の方向へ行ってしまう。


お母さん、まだ建物が開かないから!

と言っているのに

お父さんこっち‼︎

と叫んでいる。


私は慌てて止め直し、お父さんを歩かせないで!とヤキモキしながら二人を追った。


階段を降りようとしている母に、

あっちにエレベーターがあるから

と言うと、

だってこっちに人が行った!いい、いい、こっち!

と譲らない。


この時点で、わざわざエレベーターまで戻るのと、ゆっくり階段を降りるのだったらこちらの方が疲れないと判断し、杖の父を気遣いながら降りる。


外は炎天下でやはりまだ入れない。

ほら、来ても無駄じゃん、どうするの?

と言うと

あっちなら開いてるから、とまたどんどん行ってしまう。


こうなってくると言っても聞かない。

杖の父は母に連れ回され、また歩く。

でもそこも開いていないようだ。

同じように扉が開くのを待つ、お友達同士で来た4人がいた。


すると、母がその一人に椅子を貸していた。



バカじゃないの⁉️



叫び出しそうになった。


父を出来るだけ疲れさせないようにわざわざ椅子を持ってきたのに、母は散々連れ回した挙句、他人に椅子を渡して、父を炎天下で立たせている。


もう座ってしまっているので返せとも言えず、父が立ったままで大丈夫そうだったので、煮えくり返る腹をなんとか宥めて時間を待った。


結局、そこまで歩いたのにその扉は開かず、元の場所まで戻ってやっと入れたのだった。


無駄足もいい所だ。


母は万事がそうだ。


母が近くにいるとまた余計なことをせれそうだったので、車に連れて行き待ってもらうことにした。




帰りの車で、母が疲れた、などと言うので、勝手について来て、さらに迷惑かけてなにを言ってるんだ!と腹が立ったので、

お母さん、反省の弁をきくよ

と言ったら

私、反省しなくちゃいけないことした?

と平然と聞いてくる。


椅子は何のために持っていったかわかってるでしょ⁈

お父さんを出来るだけ疲れさせないためなんだよ!

副作用も聞くし、お父さんは健康体じゃないんだからワクチンは命がけなんだよ!

炎天下で待たせて、さらに椅子を取り上げて立って待たせて!

後先考えずぷらぷらと、ふざけんな!


と言ったら、本当に何の事かまるっきりわかっていないようだった。


ここで、やっと気づいた。


母はボケている。



1時間前、数分前のことが頭に入っていなかった。




ただ、自分の事や言われた事はその通りにできるので表に出ていないが、人の事は全く興味が無い。

惰性で日々の仕事はするが、おままごとなのだった。


はい、あなた、ご飯よ


自分の出したい時に出し、自分のしたい時にさせる。


人を思いやる複雑な機能は壊れているのだった。



そう結論付けると、怒鳴ったのは可哀想だった。

だって覚えていないのだから。

椅子の意味さえわかっていないのだから。




私は母が言っても言ってもやめてくれないことで、摂食障害になった。

平気で

言えばよかったのに〜

などと昔からから言っていて、ああ、娘の心情は全く汲む気がないのだなと諦めた。


本人にも思い当たることはあるだろうに、頑として忘れたなど言わなかった。

でも、もう、本当に忘れていたんだと思う。

そこまで壊れていたんだなと愕然となった。


それでも、目の前の事を受け入れない母は大嫌いだ。

これが自分の母であるのかと思うと哀しくなる。


でも、私も受け入れなければならないものが目の前にあるのだと気付かされた。