体内の特定の分子を狙い撃ちし
その機能を抑えることによって
より安全により有効に病気を治療する
目的で開発されたおくすりです。
分子標的薬は病気の細胞の表面にある
タンパク質や遺伝子をターゲットに
効率よく攻撃する薬。
現在では低分子化合物の薬も含め10種類
以上の分子標的薬が使用されています。
がんの治療薬を例にとりますと
抗がん薬の多くは、がん細胞だけでなく
正常な細胞も攻撃してしまうので、
重い副作用を発現させることも
少なくありません。
従来はがん細胞を死滅させる作用によって
治療の効果を得てきましたが、近年、
がんに関する研究が進み、がん細胞が
増殖や転移をするのは、異常な遺伝子から
できた物質が悪さをしているためである
ことがわかりました。つまり、悪さをする物質の
働きを抑(おさ)えることができるなら
がん細胞の増殖や転移が抑えられるはずです。
こうした考え方から誕生したのが「分子標的薬」です。
分子標的薬は、ゲノム・分子レベルで
がん細胞の特徴を認識し、がん細胞の
増殖や転移をおこなう特定の分子だけを
狙い撃ちにするので、正常な細胞へのな
ダメージが少なくなっています。
副作用がまったくない訳ではありませんが
従来のがんの治療薬に比べるとより患者さん
の負担が少なくなっています。
こうしたくすりの利用が進めば、従来は
入院が必要とされるケースでも、通院治療
や在宅治療ができるようになる為患者さんが
高いQOLを保ちながら治療を続けることが
できるようになると期待されます。