マイクロアグレッションとは、人種、性別、性的指向などに基づく偏見や差別を、意図的または無意識のうちに示す言動のことを指します。それは直接的な差別発言よりも微妙で見過ごされやすいものの、受け手に大きな精神的ダメージを与える可能性があります。

 

例えば、アジア人に「英語上手ですね」と言ったり、女性に「理系には向いていない」と言ったりすることがマイクロアグレッションに当たります。一見褒めているようでも、ステレオタイプに基づいた偏見が含まれているのです。

 

マイクロアグレッションを行う人の動機は複雑ですが、主に以下のような心理が働いていると考えられます。

 

1. 優越感の表明:自分が優位なポジションにあると感じたいがために、他者を見下すような言動に出る。

 

2. 不安や脅威への防衛:マイノリティの存在に不安や脅威を感じ、それを言動で抑え込もうとする。

 

3. 無自覚な偏見:差別だと自覚せずに、社会の中で無意識に学習した偏見を言動で表す。

 

4. コミュニケーションの未熟さ:相手の立場に立って考えることができず、不適切な発言をしてしまう。

 

これらの心理は、自己肯定感の低さ、共感性の欠如、偏見に満ちた環境などが背景にあると考えられます。マイクロアグレッションをなくすには、個人の意識改革と、偏見のない社会の実現に向けた教育や啓発活動が不可欠でしょう。

 

ただし、あらゆるマイクロアグレッションの原因を個人の資質の問題に帰するのは適切ではありません。社会構造的な不平等や抑圧が、個人の意識に影響を与えているという側面も忘れてはなりません。マイクロアグレッションの問題は、加害者個人の問題としてではなく、社会全体で取り組むべき課題として捉える必要があるのです。

 

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