「貴方の命は自分一人のものじゃない」


私はそうは思わない。


命は私だけのもので

貴方の命は貴方だけのものだ。


だけどそれが魂だとしたら話は変わってくる。


魂は自分一人のものではない。

両親、その親たち、そのさらに親たち。

己まで生を繋いできた者たち全ての魂と

共にあるのではないだろうか。


血に刻まれた遺伝子、

それが魂に詰まっている。


目には見えなくとも

この世に存在してきた数多の記憶や感情を

引き継いでいるのではないか。


妙に鮮明な見ず知らずの人の顔を夢でみたり

初めて来たはずなのに何故か懐かしい場所だったり、

そういうのって魂レベルで

記憶しているものなのかもしれない。


時代とともに目に見えるものは変わっても

踏みしめている大地とか空気とか

原子レベルで巡り巡っているものがある。


身体を構築するものも宇宙の原子なんだそう。

人間はみな宇宙の欠片でできているから

身体は最期宇宙に帰るってことなのかな。

そうなると魂はどこに帰るんだろう。

常に何かに宿るのが魂だとするなら

またすぐに別の肉体へと

入っていくのかもしれない。


人生には辛いことが一定数ある。

多い少ないじゃなくて確実にある。

だけどそれを乗り越えてきた魂が

無数に存在したからこそ

今の私が生を受けたんだ。


そんな風に繋げられてきた魂が

いま、私として生きているのだ。

そう思うと自分のことをとても尊く思える。




だけど想像もできないほどの

辛い想いをしている人が

この瞬間にもいるね。


だから他人に対して

簡単に生を断ち切るななんて言えません。


それに

あの子は頑張ってるからもっとやりなさい

とか

世界にはもっと辛い人がいるんだから!

とか

そんな言葉も言ってはいけません。


ちゃんと考えずに

気軽に引き合いに出していいもんじゃない。


まずは己まで繋いできた魂たちを受け止め、

もっと真剣にならなきゃいけない。


私は社会的に生きやすい人生では

なくなっても

根源の魂に向き合い続けたい。

そして素直に真剣でありたい。



川口 詩織