振り返った時に見えるものは【苦】なんだろうなと思っていました




今回私が演じた「英恵」という役は、ある意味では孤独でした

舞台は外国

英恵は日本からの留学生で生まれも育ちも違います

役作りの上でも誰かと共通する事がないので「これに対する思いはこう統一しよう」などが出来ませんでした


英恵はこの作品ではヒロインでもありました

私の実力で英恵を演じきれるのか

明らかに力不足ではないのか

そんな不安やプレッシャーとの戦いでした


稽古が進むにつれ増える台本

英恵の重要性を痛感するも、稽古では比例するように出てくるダメ出し

自分ではやっていてもそれは「やっているつもり」なんだと

持っている緊張感は「緊張してるつもり」なんだと

観ている人に伝わらなければ意味がないんだと


毎晩悩んで 悩んで 悩んで


それでも答えは出てこなくて


なのに残酷なまでにどんどん時間は流れます

他の役者さんより遅れているのに、別件の仕事で稽古を欠席する事も多々ありました

稽古後半になると不安とプレッシャーに焦りが加わりました


本当に苦しかった


逃げ出したかった


この舞台が終わったらもう辞めようとまで思いました




そして迎えた本番

やれるだけの事はやりました

でも・・・失礼な話ですが「もっとできたんじゃないか」と思います

満足なんて1つも出来ずに閉幕してしまいました




公演終了後、悔んでいる私に演出家は言いました


「詩織が成長してて嬉しかった」


意味が分かりませんでした

たくさん注意もされたし、稽古中に褒めてくれた事なんて1度もなかったのに


「成長は自分では分からないものだよ」


「稽古中にたくさん苦しんだから観てくれたみんなが「面白い」って言ってくれるんだよ。役者がただ楽しんで芝居をしても、それでは観ている人は楽しめない。苦しんで、考えて、初めて喜んでもらえるんだよ」




その時に初めて観に来てくれた皆さんの「面白かったよ」という言葉を受け入れる事が出来ました




英恵はすごく素直な子で、「ありがとう」と「ごめんなさい」をよく言います

決めた事はつき通します

そして・・・みんなに愛される幸せな子です

そんな英恵を生きる事が出来て良かったと思う事が出来ました




公演が終わってから気付いた事がたくさんあり、自分でもこの心変わりにビックリしているのですが




振り返った時に見えたものは・・・

英恵を演じる事が出来て・・・

「煙突掃除と虹色の煙」という作品に携わる事が出来て・・・


【幸せ】でした




キャストの皆さん

スタッフの皆さん

小屋さん


FVF代表・羽村英さん


演出家・原田マリアさん


そして


温かい声援を送ってくださったファンの皆さん


本当に、本当に


ありがとうございました!!





これからも頑張るよ!





英恵・・・「素敵だぁ~~~」って、言ってくれるすまいるはてなマーク