第一段階に関連する心の病気は、うつ病、統合失調症、依存症!?

引き続き、まず最初の第一段階を詳しく解説していきますが、この第一段階は生後18カ月位までの乳児期。もちろんそんな小さな時の事など、誰も記憶は無いはずですが、実はこの時期には、この時期特有の重要な発達課題があります。

 

それは少々哲学的ではありますが、自分を世話してくれる母親を、そして、ひいては自分が存在しているこの世界を信じられるようになる事です。それには乳児の世話をする、一般的には母親の役割が大です。

 

乳児はオナカがすくなど、何らかのフラストレーションを覚えると、大声で泣き出すものですが、その際、母親の対応が適切なタイミングで、且つ対応自体も常にある一定の水準を維持していれば、やがて乳児はどんな時でも待っていれば、母親が自分の世話をしてくれる事を学びます。

 

これが他人を信じる事ができるという、心理的側面を獲得する原動力であり、また、他人を信じる事が出来るという事は、これからの人生に希望を見出す事にもつながっていきます。

もしもこの時期、例えば乳児がオナカがすくなどして泣き出した時、仮にももしも母親に放っておかれるような事があれば、乳児は乳児なりの絶望感を覚えます。

 

エリクソンによれば、うつ病に特徴的な精神症状の一つである絶望感や、自分には価値が無いといった悲観的な思考は、この時期の絶望感にルーツがあるとしています。

 

また、この時期の発達課題である他人を信じる事に、もしもつまずいてしまった場合、エリクソンによれば、以後の人生で他人との交流を避けてしまう傾向が強まり、それが統合失調症に関連するとしています。

さらに、この時期に関連する心の病気に依存症があります。乳児の特徴的な行動の一つは、何でも口に入れる事ができるものは口に入れてしまう事。この刺激を求めて何かを口に入れてしまうという行為が、エリクソンによれば依存症のルーツ。

 

もしも空虚な気持ちを満たす手段として、ギャンブルや飲酒などに依存してしまった場合、そのルーツはこの乳児期に、他人のみならず、自分の属するこの世界を信じられるようになる事に失敗してしまった可能性もあるのです。

 

乳児期の子育てへのヒント

最後に今回詳しく解説いたしました、人の心理社会的発達の第一段階の内容を元に、乳児期の子育てへのヒントをまとめます。

まず、乳児の発達課題は、他人を信頼できるようになる事。乳児が信頼する最初の人物は、もちろん自分の世話をする一般的には母親です。

 

乳児が母親の愛情がこもった育児の結果、母親を信頼する事が自分が生まれてきた、この世界を信じられるようになる原動力だという事は、乳児を育児中の方は是非、頭において頂きたいです。

次に具体的な育児のポイントですが、乳児は泣き出す事で親に自分の要求を知らせます。その際、待っていれば、いずれ母親が自分の世話をしてくれるという事を乳児に覚えてもらうために、乳児の要求には適切なタイミング、且つ常にある一定のレベルで対応を続けていく事が望ましいです。

その際、親の乳児への愛情は、量では無くである事は是非、ご留意ください。いくら乳児にたくさん食べ物を与えていたからといって、決してそれで充分ではありません。

 

乳児はまだ物心がついてなく、自分の気持ちを言葉にできませんが、自分の身の周りの環境には大変に敏感であり、乳児は乳児なりにその小さな目と耳で、親のしぐさや振る舞いをきちんと観察しています!

乳児の育児中で無い方は、話があまり関係のないものになったかも知れませんが、最後に頭の中で、自分の信頼している人をちょっと考えてみませんか?

 

その際、すらすらと名前が出てくるような人は、乳児期の発達課題は、無事こなす事ができたはずです。親御さんに改めて感謝の気持ちを持つのも良いかも知れませんね。