空想する事はなかなか楽しい事ではありますが、辛い現実から心を守る為の手段になってしまう場合もあります。空想癖があった場合に、注意すべき事について詳しく解説していきます。

 

空想癖について

空想は誰もが時にはする事ですが、空想の世界に浸ってしまう「空想癖」がある方も結構いらっしゃるようです。

 

ぼーっとして自分の世界に入っている白昼夢の状態は、他人から見るとあまり格好良いものではありません。しかし人からどう思われるか以前に、やるべき事を忘れてしまうといった問題の原因にもなりえます。

 

空想に耽る事は若い証し?

空想をよくする人もいれば、あまりしない人もいますが、年齢を重ねるにつれ、空想する頻度が減少していませんか? 10代から20代前半を思い起こしてみると、「あの頃はよく空想していたな」と思い当たる人が多いかもしれません。

 

思春期は感受性が豊かな、言わば夢見る年頃ですし、あまり空想しなくなったという事は、年を取った、言い換えればそれだけ心が成熟した証しかもしれません。

空想自体は人によってはなかなか楽しいものですし、使い方によっては役にも立ちます。例えば、仕事中に辛さを感じている時、何か楽しい事など。

 

例えば、休暇中に南の島でバカンスを取っているようなイメージを頭に浮かべて、仕事のモチベーションを高めている人もいらっしゃることでしょう。

 

しかし、空想には楽しいが故、浸り過ぎてしまうリスクがあります。もしも、気分を良くする必要がある度に空想に浸っていたら、空想に浸る事がその人の心の防衛機制になっています。

心の防衛機制とは心理学の用語で、心を不安定にさせるような現実に直面した時、心を安定にする為に取られる手段の事です。例えば、何かおもしろくない事があった時に取られる心の防衛機制は色々とあります。

 

八つ当たりしてしまう、意識しないように心の内に抑圧してしまう、それをばねにして一生懸命がんばる場合などありますが、空想に浸る事も、辛い現実から心を守る為の心の防衛機制となります。

空想の世界に浸りすぎてしまう……すなわち、心を守る為に空想を心の防衛機制として使い過ぎてしまうと、深刻な問題が生じてきます。

 

過度の空想癖は心の成熟を阻害してしまう

空想に没頭している時は、映画や読書に没頭しているときのように、心は一種の解離を起こしています。知らず知らずの内に多くの時間が流れてしまっているかも知れません。

空想癖のある人は、生活の中でどの位の時間を空想にかけているか把握していますか? 意外に多い事に気付くかも知れませんが、もしも、空想する事が生活の中心と言えるほど多くの時間を占めてしまっていったら、現実に対処する能力が顕著に低下してしまいます。

こうした場合、「まず、すべき事を先にする」「人と話す時間を増やす」「空想できる時間を持てないほど忙しくさせる」など、白昼夢に浸れない環境に自分を置いてみる、また、困難に直面しても白昼夢に浸る事を心の防衛機制として使用せず、より健全な心の防衛機制の手段を用いる事が望ましいです。

例えば、辛い状況を正面から見ないで、「やってられない。もう笑うしかないね…」と、斜めにユーモアのセンスをもって受け止めてみたり、「もうがんばるしかない」とモチベーションを高めたりする事は、より健全な心の防衛機制となります。

また、優れた空想力は創作活動の原動力になるかもしれません。もっとも、思春期に空想癖があっても大人になるにつれ次第に空想しなくなった人は、このような対処を意識する、しないに関わらず身に付け、心を成熟させたと言えると思います。

もしも、空想の世界に浸りやすい場合は、満たされない欲求の存在や何か困難に直面して気持ちが落ち込んでいる、また、他人を避けてしまいやすいなど、自分の世界に入り込みやすい心の傾向が強くなっている場合も考えられます。

 

もしも、空想癖で困っていたり、何かしら問題を抱えている事を自覚している場合は、精神科や神経科で相談する事も考慮してみましょう。