日中の眠気が強すぎると、仕事や勉強など、生活全般に渡って活動レベルが低下してしまいます。強い眠気が取れない場合、うつ病、冬季うつ病、躁うつ病、ナルコレプシーなどの心の病気に関連した「過眠症」の可能性もあります。心の病気が原因の眠気について詳しく解説していきます。

 

寝ても寝ても眠い…強い眠気は病気が原因?

眠気が強すぎる……。十分睡眠を取っているはずなのに眠気が取れない場合、心の病気が原因の可能性もあります。

 

眠気が強すぎるのはなかなか辛いものです。頭がすっきりしない、イライラする、場合によっては体がぐったりするといった事も起き、物事もすんなり頭に入らないでしょう。

前日の明らかな睡眠不足が原因で眠気が強くなるのは当然ですが、十分眠っているにも関わらず眠気が強すぎる場合、その原因は色々とありますが、心の病気もその一つです。

今回は、強すぎる眠気を起こしやすい主な心の病気について解説していきます。
 

過眠症…十分睡眠を取っているはずなのに眠すぎる!

 

睡眠には個人差があり、5~6時間の睡眠で十分な人もいれば、10時間くらい寝ないと寝た気がしない人もいるでしょう。いずれにせよ、朝起きた時に熟睡感があり、日中にバリバリと活動できれば問題ありません。
 
しかし、「いくら眠っても寝た気がしない」「長時間、昼寝をしても眠気がいっこうに取れない」となると、日常生活上、何らかの支障が現れてくるでしょう。例えば、仕事や勉学の能率がかなり低下する可能性もあります。
 
また、もし生活全般で活動レベルが低下してしまえば、様々な問題が生じやすくなり、例えば、過眠が原因で対人関係にヒビが入る可能性もあります。もし大切な人からデートに誘われても、「眠気が強いから……」と言って断れば、相手の理解はあまり得られない可能性もあるでしょう。

こうした過眠に対する治療法としては、中枢神経系を刺激する作用のある治療薬などが用いられる場合もありますが、もし何らかの病気が過眠の原因となっている場合、その病気を治療する事自体が過眠の治療になります。
 

うつ病は過眠症の症状も伴いやすい

心の病気の場合、不眠の方が過眠より一般的ですが、過眠は決して稀な症状ではありません。眠気が強くなり過ぎる「過眠症」に関連する心の病気として、うつ病も代表的なものの一つです。

うつ病では症状の出現の仕方にかなり個人差があり、場合によっては気持ちの落ち込みがはっきりせず、代わりに頭痛、腹痛といった身体的症状が目立つ場合もあります。

うつ病では不眠が現われやすいですが、過眠も少なからず出現します。特に冬季になると気持ちが落ち込む、いわゆる「冬季うつ病」では過眠は現われやすい症状です。
 
また、気分の大きな振幅が特徴である躁うつ病では、気分が高揚している時は短時間の睡眠しか必要ありませんが、気分が落ち込んでくると過眠が生じやすくなります。 

もし日中の眠気が強すぎる場合、まずその眠気の状況をはっきり整理したいものです。具体的には「それはいつ頃から始まったのか?」「どのような状況になると眠気が強くなってしまうのか?」「眠気の程度は? 起きているのが困難なほど眠気が強くなってしまうのか?」、そして「どのくらい仮眠を取る必要があるか?」などです。

日中の眠気対策としては、まず夜間の睡眠が浅くなっている可能性を考慮したいところです。もし夜間に中途覚醒がある場合、夜間の睡眠が深くなるように、食事習慣や定期的な運動、そしてストレスの発散法など、生活習慣をぜひ見直してみましょう。
 
また、就寝前にはアルコールやコーヒーなど、脳に作用し睡眠の状態を変化させる可能性のある物質はなるべく控えたいものです。それでもいっこうに眠気が取れない場合は、過眠症の可能性もあります。
 
場合によっては、例えばナルコレプシーが疑われるような場合、睡眠中の脳波を取り、睡眠の詳細を調べる事が必要になってきますが、もし仕事中に限って眠気が強まる、あるいは最近つらい事が続いている……など、はっきり心的要因がある場合はもちろん、そうでない場合も過眠に対しては一応、「もしかしたら心の病気に近くなっているかも?」と疑ってみましょう。