不条理なことも多い毎日を懸命に頑張る中で、「マトモなのは自分だけ! 周りの人はみんな心の病気!」だと思ってしまうこと、もしかすると、心のどこかにあるのかも知れません。相手のネガティブな面ばかりが目に付くようになってしまった時の、気をつけるべきポイントを解説していきます。

 

ストレスを上手に発散させて日々を乗り切っていく

先の見通せない世の中を懸命に頑張っていく中で、心身が疲れ果ててしまう時があるかも知れませんが、周囲とのコミュニケーションは減らさず、ストレスは上手に発散させて、日々を乗り切っていきたいものです。

 

「世の中、昔と比べて変わったものだ」と常々口にすると、うるさく思われるかも知れませんが、実際に社会全体が好景気続きだった一昔前よりも、先が見通しづらく不安の多い社会になった気がします。

不透明な日々を懸命に頑張っていく中で、周りの人の行動につい苛立ってしまうこともあるかも知れません。時には職場やプライベートの人付き合いで、「まともなのは自分だけ。周りはみんな、心の病気!」などと思ってしまう人もいるかも知れません。

とはいえ、例えば職場でうまくコミュニケーションを取れない人に対して、「あいつはきっと心の病気なんだ……」と思ったとしても、精神医学的な「心の病気」とは、必ずしも一致しないものです。

 

ただ性格が合わないだけの、中傷めいたものなのかも知れません。とはいえ、周りの人のネガティブな面ばかりが、極端に目に付くようになってしまったら注意が必要です。気をつけたいポイントを詳しく解説していきます。

 

周りの人の大部分は心の病気ではない 

自分の思考だけが正常で、周りの精神状態が揃っておかしいと感じられる場合は、少し注意が必要です。

心の病気かどうかの大きな診断ポイントは、「その人の日常生活に生じている支障の程度」です。もしあなたにとってある人の言動が鼻につき過ぎてしまい、心の病気のように思えてしまっても、その人の家庭生活が円満で、学生なら勉学、社会人なら仕事を一応こなしているのなら、精神医学的には正常範囲になり、病気ではありません。

そして、「私に対する、あの人のあの物言いは、絶対に普通の状態ではない!」という場合の対処としては、まず、そう感じてしまう原因の一部が自分自身にあるかもしれない……という可能性をご留意ください。

 

特に、普段より心身に負担がかかっている時は、他人の仕草に敏感になりやすいものです。例えば、自分が締め切りの迫った業務と格闘している傍で、同僚たちがお茶休憩をしていたら、少しムッとするだけでなく、「自分が忙しいのを知っていてワザと見せつけているんじゃないか?」などと、被害妄想的な考えが浮かんでしまうかも知れません。

 

日常的な不満は心配しなくて大丈夫ですが、「自分だけが不当に嫌がらせを受けている」「周りはみんな自分の敵だ」と怒りが募ってくるような場合は、一度深呼吸をして、自分のコンディションも整えてみましょう。

個々人にあったストレス発散法、例えば、仕事帰りにジムに寄ったり、ちょっといい夕食を自分のご褒美にしたり……と、悪い意味で依存にならないような楽しみを、ぜひ実践していきましょう。
 

結論を出す前に、まず大切なのはコミュニケーション

また、相手が心の病気に見えてしまう原因のひとつとして、お互いのコミュニケーション不足が考えられます。人は相手を外面だけで判断しがちで、相手が何を考えているかは分からないものです。

もしも、目の前の人が突然クスクス笑いだしたら、「この人、何だかおかしい!」と思ってしまうかも知れませんが、話せばわかる、もっともな理由があるかも知れません。

 

少し前に面白いことがあって、つい思い出し笑いをしてしまったのかも知れませんし、ジョークを交えたビジネスメールを受け取って笑っているだけ、ということもあるでしょう。

コミュニケーションをとることなく、「???」と眉をひそめる前に、「何、笑ってるの?」と、軽く尋ねてみることが肝要だと思います。

また、別のケースとして、独り言が増えた同僚がいたとします。そんなときも、何だか様子のおかしい人だと決め付けるのではなく、「何だか疲れてるんじゃない?」と様子を尋ねてみれば、その事情もわかるかも知れません。

 

徹夜をしてもこなせないほど仕事を引き受けすぎていて、頭が仕事でいっぱいになっているのかも知れませんし、そのような事情が分かれば、周りの人も何らかの配慮が取れるというものです。まずは結論を出す前に、コミュニケーションを取るようにしましょう。
 

相手も自分自身も……本当の心の病気は見逃さないで!

とはいえ、場合によっては本当に心の病気に近くなっていることもありえます。心の病気の治療では、薬物療法心理療法などが行われますが、早期治療は、病気の予後を良好にする大原則です。

たとえば、見えない誰かと話しているように見える場合や、その理由を聞いても本当にコミュニケーションが成り立たないような場合は、脳内環境に深刻な異変が生じている可能性があり、決して軽視することはできません。是非、精神科(神経科)の受診をすすめてください。

また、周りの人がみな心の病気に見えてイライラが募り、目先のことに集中できなくなっていたり、何をしても楽しくないといった場合は、うつ病に近い状態かも知れません。そうした場合は、ご自身が精神科(神経科)を受診してみることも、ぜひご考慮ください。