親が子を思うのは自然の摂理ですが、時にはそれが行き過ぎてしまった結果、日常生活上、何らかの弊害が生じている場合もあります。こうした時には、子離れをしていく自覚が必要になってきますが、そのためのヒントを今回は詳しく解説していきます。

 

子離れしていくためのヒント

いつまでも親離れが出来ない子供は、確かに問題になる時もあるかも知れませんが、その反対も実は真であり、ちょっと前までは小さな子供だったはずなのに、いつの間にか親より背が高くなっていたりと、子供はどんどん成長していきます。

実際、「親はなくとも、子は育つ」と言いますが、いつまでも親離れ出来ない子供は、親御さんには頭が痛くなる時があるかも知れません。同様にいつまでも子離れが出来ない親も、お子さんには頭が痛くなる時があるものです。

今回は、なかなか子離れが出来ないと自覚されている親御さんが、子離れしていくためのヒントを、精神医学的観点から詳しく解説していきます。

 

まずは子離れ度をチェック! 

子を思う親の気持ちにケチを付けては、バチが当たりそうですが、それでも行き過ぎてしまえば子供への過干渉につながるなど、何かしら弊害が現われてくるもので、子育て中あるいは子育てを終えた親御さんは、以下のような事に心当たりはございませんか?

  • いつも子供の事ばかり口にしている
  • 子供が友達の家に泊まってきたような時、子供がウチにいないだけで気持ちが落ち着かなかった
  • 子供の成績が、たまたま悪かったような時でも、気持ちが動転しやすい
  • 子供が遠くの学校に行って、親元を離れていた頃、それこそ毎日のように、ご飯を作りに行ってあげたり、掃除をしに行ってあげた
  • 子供の職場をこっそりチェックしてしまった
  • 子供が帰省した時、「残業が多すぎる」と、こぼすので、その職場に事情を聞きに行ってしまった

もしも、上記のような事がいくつか該当するのであれば、かなり子離れが出来ていないという事になってきますが、そのようなご自覚はございますか?では、次にその原因を考えてみましょう。
 

夫婦仲はいかがですか?

なぜ子離れが出来ないのか、言い換えれば、なぜ子供無しには自分の日常が成り立たなくなってしまったのか?

 

こういった場合、まず考えられるのは夫婦仲で、もしも嫁の顔を見るのも嫌、旦那の顔を見るのも嫌となってしまっては大変です。まずは、壊れかかった夫婦仲の修復が最優先です。

失われた夫婦生活を取り戻すためには、休みの日はどこか遠くへお出かけなどをして、結婚前の気分に浸ってみるのも、なかなかよい方法だと思うのですが、いったん壊れかけた関係というのは、なかなか元には戻らない傾向があります。

 

もっとも、「自分は子供の笑顔を見た時が一番、心が癒される」という方には、必要のないことかも知れませんが、責任を持ってペットを飼ってみるなんていうのも一つで、色々と心を癒す手段のレパートリーを広げていく努力は、充分する価値があることだと思います。

 

子離れのモチベーションを維持するためには心の安定は不可欠

さて、自分の子離れが出来ていないため、日常生活上、何らかの弊害が生じている事に気付いたとします。例えば子供への過干渉のため、子供の負担が自分の想像以上に大きくなっている場合、あるいは自分の心が子供の状態に左右されやすく、心の安定を保ちにくくなっているような場合です。

こうした場合、いよいよ子離れしていくためのアクションを取っていくことになり、その際、何と言っても大切なのはモチベーションとなりますが、「自分には子供しかいない」と強く意識している人は、それまでの行動パターンは中々変えにくいものです。

ただ、ここで是非とも意識しておきたい事として、物事への考え方は、その時々の心の状態に意外に左右されるという事で、例えば気持ちが落ち込んでいる時は、悲観的な考えが頭に浮かびやすくなります。また気分が安泰になってくると、他の事にはそれほど捉われないものです。

したがって、子離れのモチベーションを高めていくためには、まずは自分が原因で生じている問題の深刻さを理解すると同時に、自分の心を充分に安定させる事を意識したいものです。さらに、人の輪には出来るだけ入っていきたいものです。

 

他の人と接する事によって、彼らが自分の子供にどう接しているかが分かれば、それが自分の行動パターンを変えるきっかけになるかも知れません。
 

心の不調には要注意!

以上の事をしっかりと頭に叩き込んだところで、無事に子離れを決めて、以後は平穏無事な人生を送りたいものですが、時には心の不調がそれを難しくさせる場合もあります。

例えば、「慢性的に気分が冴えない」、「強烈な不安感が時折、押し寄せてくる」、あるいは、「アルコール依存症になってしまった」といった場合、こうした問題への対処について真剣に考えなければなりません。

 

いったん心の不調が、こうした病気のレベルにまで達しているような場合、自力で解決するのは大変困難です。精神科(神経科)での治療が必要であるという事は是非、ご留意ください。

最後に、親が子を思うのは自然の摂理ですが、もしもそれが行き過ぎてしまえば、子離れの決意が必要なほど、日常生活に弊害が生じる場合もあります。

 

もしも、お子さんがそのような事をこぼされた際には、決して軽く聞き流さずに、しっかりとお子さんの話に耳を傾けて上げてくださいね。