今回は心の不調の現われであり、また日常生活でよくある失敗の原因の一つ、焦りへの対処法を、精神医学的側面から詳しく解説していきます。

 

焦ってはいけないと分かっていても…

日常生活において、時に心の不調を意識する時もあるかと思います。例えば、朝からイライラが止まらず、他人のちょっとした仕草や物言いに腹を立ててしまう。

 

そんな時は仕事や勉学の能率は落ちやすいものです。とはいえ、周りからは常にそれなりの結果を求められ、プレッシャーが強い状況も少なくないかと思います。

それでも「いざ、やりさえすれば簡単にできるさ!」と、自分に充分自信がある場合もあるでしょう。でも、それにすんなり取り組めず、もしもスマホやネットをいつまでも見続けるようならば、やがて焦りが大きくなってくるでしょう。

 

あるいは、少し待てば良い機会があるとはっきり分かっていても、つい焦りから目先の事に手を出し、失敗する事もあるかと思います。焦りは心の不調の症状であると同時に、物事に失敗する、よくある原因の一つ。焦る気持ちは上手にコントロールしていきたいものです。

今回は、焦りを心の不調の現われとして、その対処法を精神医学的面から詳しく解説していきます。

 

心の不調に気付いた際は、その持続期間と強度をチェックしてみましょう!

仮に最近、焦り気味になっていると自覚があったとします。一般に心の不調を自覚した際は、その持続期間、そしてその症状が原因で、日常生活上何か困った事態が起きていないかをチェックしたいところです。

もともと焦りやすい人ならば、それがその方のベースラインともいえ、特にチェックするまでもないかも知れませんが、そうでない場合、例えば、最近、仕事中、集中力が続かない。

 

仕事のスケジュールが重く感じられ、「何とかしなければ」と、焦りが強くなっている。あるいは、ある日、隣の家の垣根を職人さんが手入れするのを見て、何か遅れを取ったような気がして、急遽、自分の家でもそうする事にした……。

もちろん、焦って何かをしても、それで特に悪い事も起きない場合もあるでしょう。上記の例でも、家の垣根が立派になれば、それはそれで結構な事!

 

でも場合によっては、その急な出費に家族の誰かの機嫌を損ねてしまう……といった事も起こり得る事です。皆さまは最近、焦りから思いがけない失敗をした……といった事は無かったでしょうか?

 

焦っていると自覚がある場合、その原因は判明していますか?

焦りが不安・焦燥感と呼べるほど強まっている場合でも、その原因がはっきりしないことがあります。もしもその原因が、脳内環境が病的になってしまった事にあれば不安・焦燥感以外にも何らかの精神症状が現れやすいものです。

 

例えば、気持ちが落ち込みやすくなっている。あるいは、寝付きが悪い。さらには、日常生活においてパートナーとの仲が悪くなった。そして、アルコールの量が以前より顕著に増えていないかどうかといった事にも、充分注意を向けてみましょう。

もっとも、焦りの原因がはっきりしている場合もあります。例えば、家族から何らかのプレッシャーを強く掛けられているような状況。

 

あるいは、自分のライバルが先に出世してしまい、差をつけられたと感じている毎日。あるいは、日々やるべき事が山のようにあり、ひどく疲れて、自分本来の調子が出せないような状況もあるでしょう。

 

焦りにくい自分になる事は、ゆとりのある大人になる事!?

焦りの原因がはっきりしていれば、その対策を真っ先に考えたいところです。例えば、先の例で、家族からのプレッシャーが強い人は何らかの家族会議が事態を解決するカギかも知れません。

 

また、疲れている人は、言われるまでもないでしょうが、休養を取る事をぜひ考慮してみましょう!心身が疲れ果てれば、物事の能率が低下するだけでなく、うつ病など心の病気のきっかけにもなりやすい事にご注意下さい。

また、一般的なストレス対策は決して軽視しないようにお願いします。現代はストレス社会。人によっては、一日の仕事を終えて家に帰ってくれば、「やれやれ」と、ため息が出てしまう事もあるかと思います。

 

睡眠栄養のバランスの取れた食事適度な有酸素運動、そして仲間や家族と過ごす時間といった、ストレス対策の基本は大切にしたいところです。

 

実際、仲間の話を聞くうちに、皆自分と似たような環境にある事が分かり気持ちが軽くなった、あるいは、今の生活に自信が出て来た……といった事もあるかと思います。

ちょっと大げさかも知れませんが、焦り始める前にやるべき事をいかにしてテキパキと片づけるか、ということは人生の大切な課題ではないでしょうか?もちろん、それが出来る方は少なからずいらっしゃるものです。

 

でも、そうでない方は決して少なくないはずです。例えば学生時代、試験の直前、本当に焦ってくるまで、どうしても勉強に身が入らなかった人は、現在やるべき事をテキパキとやれていらっしゃいますか?

もっともそれで日常生活上、特に支障がなければ、精神医学的には正常範囲!でも、もしも焦るたびに何らかの失敗が続いているようならば、これを機会にぜひ、対策を検討してみてはいかがでしょうか。