今回は、何らかの対象や状況に対する苦手意識がある場合の対処法、そして、関連する心の病気として恐怖症を詳しく解説していきます。

 

心の病気の中でも頻度の高いものの一つ、恐怖症、そしてそれに類似のある日常的な問題について

もしも、小さな犬が近づいてきただけで怖くなってしまう人は、犬に対する苦手意識が恐怖症のレベルに近くなっている可能性にもご注意を!

 

誰にでも少なからず苦手な人やモノ、あるいは状況があるのではないでしょうか。例えば、動物が苦手な人。もしも、小さな子犬を見ただけで、怖いと感じてしまうほど犬が苦手になっていたら、飼い主と散歩中の犬が前から来たりすると、思わず方向転換したくなるかも知れません。

もっとも、たとえその犬とすれ違っても、少し緊張感を覚える程度で済めば、精神医学的に問題視は出来にくいです。しかし、犬がそばにくると、手先は汗ばみ、動悸がするなど、不安反応が強い場合もあるかも知れません。

苦手を覚える対象は避けやすい

 

もし「あなたが苦手とする対象は?」と問われれば、すぐにいくつか挙がるかも。例えば、食べ物ではあれがダメ、職場ではあの人が少し苦手、近所のあの犬はだいぶ苦手なので出来るだけ避けている……。

実際、その対象や状況への苦手意識が強くなればなるほど、それを避けやすくなるものです。例えば、エレベーターの中のような狭い空間が苦手な場合、なるべく階段を上るようになり、あるいは、公衆トイレで隣に人がいると居心地が悪くなってしまう男性は個室の方を選びやすくなってしまうでしょう。

このように苦手なものは基本的に避ける事ができれば、問題は起こらないはず。動物の馬が苦手な人は、動物園などに行かない限り、馬が自分のすぐ近くにいるといった状況はほとんど無いでしょう。

 

しかし、日常的な事象であれば、避ける事自体が難しい場合もあります。例えば、エレベーターの中のような狭い空間が苦手な場合、行き先が高層階であれば、階段を上る事は体力的にも、時間的にも厳しくなってくるでしょう。

問題はこうした避けられない状況で、いったいどういう反応が起こるかです。少し居心地が悪くなる程度なのか、それとも、はっきり緊張感を覚えるのか。もし、強い不安反応が起こるようならば、恐怖症の可能性にも注意が必要になってきます。

 

苦手意識を持つきっかけは? もしかしたら意外なルーツがあるかも!

苦手なものが仮にあるとして、それが苦手になってしまったのはいつ頃からなのか、はっきりしていますか? 先の例で、子犬が近くに来ても怖いと思う人は、犬を恐れる気持ちはいつ頃から生じたのでしょう?

 

つい最近の事なのか、それとも、まだ小さな子供だった頃からなのか? 時になかなか答えが見つからない場合もあるでしょうが、自分が苦手としている事を探究していく事は自分自身を知る事にもつながるでしょう。

実際、犬に限らず動物は恐怖症で見られやすい対象の一つ。その恐怖心は10歳頃までの小児期に芽生える事が多いものです。もしかしたら、犬に吠えられると、子供の頃父親から叱られた事が、無意識のうちに心に現われるのかもしれません。

 

あるいは、子供の頃犬にかまれてしまい、それがトラウマ化するなど、個人個人で理由は異なってくるでしょう。場合によっては、自分でもなぜ犬を怖がるのか、理由がよく分からない場合もあるかと思います。

著名な精神医学者であったフロイトの説によると、恐怖症のルーツは4~6歳頃までの、エディプス期の心の葛藤。この時期の男子には父親から叱られる、あるいは罰せられる事を恐れる気持ちが子供心とはいえ生じやすいもの。しかし、自分の父親を恐怖の対象とするわけにはいきません。

 

父親の代わりとして、何かを恐れるようになるというのが、フロイトの説ですが、これを犬を恐れる男性に当てはめれば、この男性は父親の代わりとして、犬を恐れるようになってしまった可能性もあるでしょう。