パーソナリティは十人十色とはいえ、「猜疑心が強すぎる」「感情が不安定すぎる」といった傾向はあまり人から好まれないものです。今回は、こうしたパーソナリティ的な問題が生じるメカニズムを詳しく解説していきます。

 

自分はいったいどういう人間なのか?

思った以上にはっきり認識できていないことかもしれません。その一つが「心の防衛機制」です。パーソナリティは人それぞれとはいえ、「猜疑心が強い」「感情が不安定」といった傾向は、あまり人から好まれないでしょう。

もっとも、こうした傾向はその人の属する社会や文化を物差しに測っていて、精神症状は基本的に相対評価ですが、こうした傾向が顕著になれば、精神医学的にはパーソナリティ障害の可能性も出てきます。

今回は、その原因として特に心理的な要因と共に、自分の性格を見直してみるためのヒントも詳しく解説していきます。

 

嫌な事が起きた時にとる行動で、その人がよく分かる!

平穏無事な毎日はなかなかそうは続かず、思いがけず嫌な事だってあるかもしれません。例として、前から買いたいと思っていた洋服をやっと手に入れた時を考えてみます。

こうした時はなかなかうれしいものです。仮にですが、それを着て外出した際、通りすがりの小さな子供から「ダサい!」なんて言葉を投げかけられたらとします。ショックはかなり大きいかもしれませんが、その時の反応はその人をよく表わすものです。

ある人は家に帰ったあと、何もする気がおきず、そのまま部屋に閉じこもってしまう。ある人は「親のしつけがなってない!」と、親のせいにして何とか怒りをしずめる。でも、またある人は何かに八つ当たりしてしまうかもしれません。

こうした反応は、そのショックから心がそれ以上傷つかないよう、半ば無意識に行なわれる行動パターンです。心理学の用語で「心の防衛機制」と呼ばれます。この防衛機制に何か問題があれば、以下のようにパーソナリティに問題が生じる原因になります。

 

心の防衛機制が病的になれば…

パーソナリティ的な要因で対人関係上、問題が生じやすくなることがあります。例えば、猜疑心が強すぎる場合です。ここでは具体的な例として、旦那さんが浮気をしているのではないかと疑いやすい奥さんを考えてみます。

その背景にはさまざまな要因が考えられますが、場合によっては旦那さんが浮気などをしていないにも関わらず、奥さんの疑念が不合理に強まる場合も考えられます。

こうした場合、奥さんは元々疑ぐり深い性格なのかもしれませんが、思考に不合理性が高まる背景には、心の防衛機制が病的になっている可能性もあります。

思考の不合理性、特に妄想に関係する心の防衛機制としては「投影(projection)」が代表的です。この例でもその背景にあった出来事として、奥さんが週末のプランを旦那さんに相談したら、旦那さんは「仕事が入っているから無理!」とつれなかったとします。

その時、奥さんは内心の怒りが大きかったのか、心の奥底で「浮気でもしてやろう!」といった気持ちが生じたとします。でもそれをはっきり意識にのぼらせれば、自分は浮気をしたがる、言わば、いけない人間になってしまいます。

 

自分の心を守るために、浮気をしたいのは自分ではなく、旦那さんの方にしてしまう……。不合理な猜疑心は、「浮気をしたい」という自分の気持ちを相手に「投影」させた事が原因だったのです。