落ち込んだときに出る「ため息」は、本能的なリカバリーショット。吐く息を長くする呼吸法を意識すれば、自律神経のバランスを整えられます。日常生活では、できるだけ「ゆっくり」を意識しましょう。

 

呼吸でリセットしよう

気分が落ち込んだとき、なんとなく元気が出ないとき、自然と出てしまうのが「ため息」。「ため息をすると幸せが逃げていく」といいますが、自律神経のメカニズムから説明するなら、「ため息」は本能的なリカバリーショットです。

同じ呼吸をするのでも、吐く時間が長ければ長いほど、より効果的に副交感神経優位に切り替わることができます。緊張したときに深呼吸すると心が落ち着くのは、副交感神経が優位になり、末梢の血流が増加し、血流がよくなる結果、筋肉が弛緩して体がリラックスできるからなのです。

ため息が不幸をもたらすのではなく、不幸があるからため息が出るのです。ため息をつかねばならないような状況は、悩み事やトラブルを抱えているとき。人は思い詰めると呼吸が止まりがちになります。そうすると当然、息苦しくなりますので、その反動で自然とため息が出るのです。

逆に、頑張りたいのにやる気が出ないというときは浅く速い呼吸をして、交感神経を刺激すると効果的です。一回でも深い呼吸をすることで、自律神経のバランスが変化し、体は変わります。緊張したときや焦ったときは、「呼吸でリセット」を試してみましょう。

 

「吐く」を意識した深い呼吸と「ゆっくり」生活

一日中時間に追われ、職場でも家庭でもストレスだらけの現代人はただでさえ交感神経が優位になっており、心身ともに緊張状態を強いられています。その緊張を解きほぐし、副交感神経が優位なモードに切り替えるには、「ゆっくり」というキーワードを忘れてはいけません。

そのために非常に重要なこと、それでいて日常生活で意識すれば簡単にできること、それが呼吸を意識することなのです。呼吸には瞬時に体の状態を変える力があるからです。

お薦めは、「吐く」を意識した深い呼吸です。これを「ワンツー呼吸法」と名付けておりますが、その名の通り、息を吸ったときの倍の時間をかけて息を吐く呼吸法です。

 

焦ってイライラしているときほど、この「ワンツー呼吸法」を心がけましょう。深い呼吸をすることで、副交感神経が刺激されるので、心身ともにいい状態にリセットされるはずです。

さらに、日常生活の中で、人と話をするときや、一人で歩いているときにも、「ゆっくり」を意識することが大事です。焦って行動するとイライラと怒りっぽくなり、血圧が上がって脳梗塞や心筋梗塞を起こしやすくなるとともに、免疫力もダウンして、体にいいことは何一つありません。

 

「ゆっくり」行動すれば、副交感神経が活発になり、血圧も下がり、血流がよくなり、免疫力の向上につながります。

 

寝る前に翌日のスケジュールを確認することも大事

毎晩、寝る前に翌日のスケジュールを確認し、心を穏やかに保つ習慣を身に付けることも大事です。明日は何時に起きて、まず何から始めたらいいのかを前の晩に落ち着いて確認し、頭を整理しておけば、安心してぐっすり眠ることができるし、翌朝も余裕をもって行動できます。

 

その結果、副交感神経のレベルも上がってくるのです。反対に、自律神経バランスを良好に保つ上で、突発的な予定変更や急激な行動の変化というものが、最も良くないことなのです。

 

発車間際の電車に駆け込んでドキドキしたり、予定外のスケジュールに追われてイライラしたりすると、副交感神経の活動レベルはどんどん下がっていってしまいます。

 

したがって、日常生活で常にゆとりをもって、「ゆっくり」と行動することが、自律神経バランスを良好に保ち、体の免疫力を高めることにつながるのです。