ネタバレ記事です。まだお読みになっていらっしゃらない方はご注意ください。


🔷 17巻のあらすじ


上弦の弐・童磨と激闘を繰り広げるしのぶは、毒が効かない童磨に苦戦を強いられ、吸収されて死亡。しのぶの死後、栗花落(つゆり)カナヲが童磨と対決する。禰豆子は人間に戻る薬を飲み苦しそうに眠っている。善逸は兄弟子の獪岳(かいがく)と決着をつける。炭治郎と義勇は猗窩座と闘い始める。


🔷 怒り



しのぶは過去のことを思い出していた。家族全員で暮らした幸せな日々が、突如鬼によって壊されたこと。自分を救った悲鳴嶼のように強くなり、誰かを守りたいと思ったこと。自分たちと同じ思いを他の人にはさせない、カナエとそう約束したことを。しのぶは鬼に対してずっと怒っていた。両親と姉に加えて、カナヲ以外の継子を殺した鬼に対して。しかし、その怒りをどれほどぶつけても童磨に毒は効かなかった。童磨に抱き寄せられるしのぶ。



カナヲが到着するも、しのぶは指サインを残して童磨に吸収されてしまう。




一方、善逸は、上弦の陸である鬼になってしまった元・兄弟子の獪岳と再会していた。


🔷 受け継ぐ者たち


胡蝶しのぶの死が、鎹カラスを通じて隊士たちに連絡される。炭治郎はしのぶの死に涙を浮かべながら、無惨のところへ足を止めずに進んでゆく。



その鎹カラスを操るのは、齢8歳にして産屋敷家の当主となった輝利哉(きりや)だった。両親と姉2人を亡くしても涙を流す暇(いとま)すらない。妹2人と協力して無惨と上弦の位置を把握しながら、隊士たちを適切な位置へ移動させる。



善逸は獪岳に激怒していた。雷の呼吸の継承権を持つ獪岳が鬼になったことで、爺ちゃん(桑島慈悟郎)は腹を切って自害したという。それにもかかわらず反省の色をまるで見せない獪岳を、善逸は絶対に許せなかった。


壱ノ型しか使えない善逸、壱ノ型だけ使えない獪岳の激しい戦いが始まる。善逸の速さは獪岳の想像を絶した。


🔷 幸せの箱


獪岳は自身が鬼となった時のことを思い出していた。上弦の壱・黒死牟(こくしぼう)に敗北し、身体中の細胞を恐怖に震わせながら無惨の血を飲んだことを。黒死牟に比べれば善逸など大したことはない。雷の呼吸を2人で後継と決めた桑島も善逸もどちらも死んで当然だ、と獪岳は思っている。


雷の呼吸で善逸を攻撃する獪岳。陸ノ型で善逸は深傷を負い、無限城を落下してゆく。しかし善逸は諦めない。獪岳の不満の音に気付きながらも、どうすることもできなかった善逸。兄弟子が鬼となったことのケジメをつけるため、自ら編み出した技である漆ノ型「火雷神」を放ち、獪岳の頸を切る。


🔷 誇り


死を目前にしても、プライドの高い獪岳は善逸に敗北したことを受け入れられない。意識を失い、落下して死に近づく善逸を見て、安堵の表情を見せる獪岳。しかし、善逸は愈史郎によって救い出され、獪岳は1人虚しく死を迎える。



善逸は気を失った状態で桑島と再会する。兄弟子だった男を救えなかったことを激しく後悔し、桑島に謝罪する善逸。しかし桑島は、自分の代わりに獪岳とのケジメをつけてくれた善逸のことを「わしの誇りじゃ」と涙ながらに伝えるのであった。桑島との対話を終え、意識を取り戻した善逸。人間として鬼殺隊に入っている愈史郎(ゆしろう)の治療を受ける。


その頃、炭治郎は無惨の元へ向かう途中、ついに上弦の参・猗窩座(あかざ)と遭遇する。無惨は肉の繭のようなものの中で、人間に戻る薬を分解し、珠世を取り込み始めていた。


🔷 小さな歯車


両親が死んでも涙を流さずに指揮を取る輝利哉の姿勢を、同じ屋敷にいる宇髄天元と煉獄槇寿郎が褒め称える。禰豆子は人間化の薬を飲んで眠っていた。鱗滝がその様子を付きっきりで見守っている。無惨との最終局面を迎え、何か大きな歯車が動き始めたように感じる鱗滝。その歯車は間違いなく炭治郎と禰豆子によって動き始めたのであった。


その頃、炭治郎は猗窩座と対決。ヒノカミ神楽の技の精度は練り上げられ、猗窩座の腕を断ち切るほどの威力になる。猗窩座及び義勇は、炭治郎が短期間で柱に匹敵するまでに成長したことに驚嘆するのであった。炭治郎を強者と認め敬意を表した猗窩座は、煉獄と闘ったときと同様の術式を展開する。


🔷 ぶつかる


術式を展開した猗窩座は、炭治郎と義勇を猛攻し始める。義勇は水の呼吸で、猗窩座の攻撃をつぎつぎにかわしてゆく。義勇の流麗な剣技は、猗窩座も感嘆するほどであった。


一方で炭治郎は、義勇のサポートがあっても今現在、猗窩座の攻撃を受けるだけで精一杯。が、猗窩座の攻撃を間一髪のところで回避し、必死に食らいつく。炭治郎の成長に目を見張る猗窩座。


猗窩座は、炭治郎のために煉獄杏寿郎は死んでよかったのだと言う。煉獄を侮辱するような発言に対し、怒りに震える炭治郎。弱い者を嫌悪し、全く評価しない猗窩座。反対に、強いものは弱いものを助け、そして弱いものは強くなり、また自分より弱いものを助け守ると考える炭治郎。闘いはますます激化してゆく。


🔷 嫌悪感


猗窩座は、弱者を肯定する炭治郎を心の底から理解することができなかった。強者になってもなお弱者に優しくする炭治郎に対し、不快な感情を抱く。炭治郎との戦いを楽しむのではなく、不快ゆえに炭治郎を葬り去ることを猗窩座は決断する。猗窩座の技はさらに精度を増し、正確に炭治郎の急所を突いてゆく。



炭治郎が攻撃を受け切っても、威力が凄すぎて負傷を零にできない。猗窩座の正確無比な攻撃に何かヒントがないか、炭治郎は思考を巡らせる。日輪刀を白羽どりし、折ろうとする猗窩座。頭突きや蹴りを入れても決して猗窩座は離さない。絶体絶命の炭治郎。しかし義勇が復活し、猗窩座の腕を切断する。


煉獄千寿郎は炭治郎に手紙を出していた。手紙には日の呼吸の剣士が無惨と対峙した際の話が書かれているのだが、手紙を受け取る前に猗窩座との戦いが始まってしまった。猗窩座に勝たない限り、手紙を読むことはできない。


🔷 気づき

猗窩座という強者との闘いの中、義勇は短時間で感覚が鋭く錬磨され、痣の発現に至るのであった。ギリギリの命の獲り合いというものがどれほど人の実力を伸ばすものか。攻撃速度が格段に上がり、猗窩座と対等に打ち合う義勇。しかし、猗窩座も義勇の速度にすぐ順応する。


長期戦になれば、体力が永遠に続くわけじゃない人間は圧倒的不利だ。炭治郎は思考を放棄することなく、義勇の体力が限界を迎える前に猗窩座の攻略方法を考えつかねばならない。その結果、猗窩座のわずかな言葉から「闘気・至高の領域」というキーワードに気づく。


目には見えない何かを感知する猗窩座。炭治郎は、同様に目には見えないものを感知する伊之助との会話を思い出す。そこからヒントを得た炭治郎は、猗窩座の攻撃を回避し、猗窩座の闘気の本質にたどり着くのであった。


🔷 鈴鳴りの雪月夜


炭治郎は父「炭十郎」との過去を思い出していた。感情の起伏がなく穏やかな植物のようだった父。ヒノカミ神楽を夜明けまで舞い続ける父は、疲労を感じることなく、頭の中が段々と透明になってくるという。それはたゆまぬ努力を続けることでたどり着ける領域だった。



力の限りもがいてたどり着くその領域を「透き通る世界」と父は語る。病死する10日前、炭十郎は九尺もあろう巨大な熊の頸を、殺気なく恐怖もなく怯みもせず、植物のような気配で落とした。



「透き通る世界」が見える者の体捌きを見せていた父の見取り稽古を思い出し、猗窩座との戦いにそれを生かす炭治郎。「透き通る世界」に入り、義勇が相手をしてくれているうちにこれを使いこなし、猗窩座に勝利することを誓う。


以下次号、乞うご期待!


©️吾峠呼世晴/集英社

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2020年12月25日 仙堂詩織