夏の星座のわし座は、一等星のアルタイルがあることでよく知られています。


ガニュメーデス。彼はトロイの国の基礎をつくったトロース王の子(羊飼いだったという説もある)で、栗色の髪に黒い瞳、バラ色の唇をしており、女性だけでなく男性までもが彼の魅力の虜になってしまうほどでした。


その美貌は、ギリシャ随一の美男アレスや美青年で有名なアポロンをも、凌駕していたといいます。当然ゼウスは一目惚れして、「人類で一番美しい少年」と言うほどでした。宇宙一目が肥えていたゼウスがそう言うのですから、相当な美貌の持ち主だといえます。


男であろうがなんだろうが、美しいものに目がないゼウスは、瞬く間に一羽の大鷲に変身して、トロイの国を目指して舞い降りてきました。


ガニュメーデスはヒツジの群れを追っていましたが、突然大きな鷲に出くわし、ただただ驚くばかりです。逃げる間もなくさらわれていってしまいました。


やがてオリンポスの山頂に舞い降りた鷲は、ガニュメーデスの前にゼウスの姿を現しました。そして驚きと深い悲しみに包まれている少年に、ゼウスはこう告げます。


「お前のような美しい人間がわしの側にいてくれるなら、わしは永遠の若さと美しさをお前に与えて人々の憧れとなるように約束しよう!」


もはや地上に帰ることもできず、しかも大神・ゼウスの申し入れに、ガニュメーデスは断れるはずがありません。仕方ないとあきらめた彼は、オリンポスに留まり、ゼウスや神々の間で不死の妙薬であるネクターという酒を酌む仕事に就きました。


ギリシャ神話では大抵、わし座についてこのように語られていますが、ガニュメーデスをさらっていった鷲は、ゼウスが飼っていた鷲だとも言われています。


また、人に火を与えた罰として岩山につながれた、プロメテウスのハラワタをついばむ鷲だとも伝えられています。


大鷲にさらわれたガニュメーデスは、長くなるので省きますが、複雑な経緯を経て、現在も秋の夜空に見えるみずがめ座として輝いています。


一等星の「アルタイル」とは、アラビア語で「飛ぶ鷲」という意味ですが、日本では七夕の「彦星」としてよく知られていますね。


そして、こと座のベガ、はくちょう座のデネブと共に「夏の大三角形」と呼ばれる、大きな二等辺三角形を形作っているのです。


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2020年8月18日 仙堂詩織