日本映画ガイド 2008年3月発刊
奈緒子 作品&登場人物紹介
恋空
貧乏男子ボンビーメン 他 フィルモグラフィー
三浦春馬 特集号
恋空、撮り終えて、
すぐに、奈緒子撮影へ、
その頃を振り返ってのインタビュー記事
ご紹介です。
『恋空』『ネガティブハッピーチェンソーエッジ』と、映画出演作が次々と続く三浦春馬。
最新公開作 『奈緒子』では、 日本の疾走(かぜ)と、呼ばれる天才ランナー=壱岐雄介を熱演。
近作を振り返っての苦労話をたっぷり語ってもらいました。
〜 一部抜粋 〜
そんな渾身の走りはもちろんだが、三浦演じる雄介は、ヒロイン・奈緒子に一筋縄ではいかない複雑な思いを抱いていると言うデリケートな心情、芝居も要求されるキャラクター。幼い頃、海に落ちた奈緒子を助けた自分の父が、そのせいで命を落としたと言う過去ーーー。16歳になった今も、ーー奈緒子のことを許せない雄介の思いは、察するに余りあるが、、
「実は、奈緒子に対する気持ちや奈緒子を見る目っていうのは、そこまで意識してなくて。現場で古厩監督と話し合いながら、作っていった感じですね。事前に作り込んでいくってことはしなかった」とあっさり。
だが、2人の関係を象徴するような給水のシーン(奈緒子の渡そうとする水を受け取らない雄介)
での、スローモーション映像は、鮮烈だ。
監督は、最初に三浦に会ったとき、(『恋空』撮影の直前で銀髪だったにも関わらず)「あ、撮れるかもしれないと。安心したんです」と、語っている。三浦本人は深く考えてないと言うが、そのあまりに自然な佇まい、そして10年のキャリアは、役者としての彼の中に確かに息づいているのだろう。
「普段、役を引きずることもないし、そこは割り切れると思っていたんです。『奈緒子』では、特に最初の頃、監督から "もうちょっと、かっこ悪くして" でよく言われた。自分では意識していなかったけど、ヒロがどこかに残っていたのかもしれないですね。雄介は自分に近いところは、あまりないんですよ。見つけられてないだけかもしれないと。ただ、
走ることが好きな気持ちはわかる気がした。
これは僕の勝手な想像ですけど、雄介ってずっと、小さい頃から走ってるから、急にやめちゃったら不安になったり、怖かったりするんじゃないかなって思ったんですよね。それは僕自身にも当てはまる。ずっと小さい頃から芝居をやってきて、今芝居をやめたらたまらなく、不安になるだろうし、充実感もなくなって怖いと思うんです。それくらい、雄介にとって走るって事は当たり前のようにそこにあることでそこは僕と同じなんじゃないかな。」
「基本に、自由にやらせてくれた」と言う初の古厩監督演出も、のびのびと楽しんだ様子だ。
「監督は、いつも穏やかで、優しくて、笑顔で。その優しい笑顔で もう一回、走ろうか〜って言うんです。隠れ "S"ですよ!嘘です。怒られます。(笑)」