✐愛に包まれて2 | 愛の詩

✐愛に包まれて2

✨新しい居場所✨


 けだるい初めての朝はミルクティーの香りに包まれていた。 

「どうぞ」彼がミルクティーを渡してくれる。
「一緒にお風呂入るからね?」「えっ…でも恥ずかしいです」「ふふっ、恥ずかしいって、もう全部見ちゃったからねオレ」「涼さん」「ふふっ可愛いね。堪んない。ねぇ蓮はこっちにいるんだよね?」「はい」
「じゃ電話しとくね」
彼はスマホを手に取り電話をかけた。相手は私の兄。
「もしもし蓮か?」「涼どうした?生きてんのか?」
「生きてるよ、お前に話がある」「なんだ?」「妹いたよな莉子ちゃん」「ん、なんかさ昨夜は友達とこに泊まったらしいんだ」
「へーあのさ莉子預かってる」「えっお前どういう意味だよ」蓮は慌てた口調で突っかかってきた。
「話を聞け、昨日渋谷で莉子が変な若者に絡まれてるのに遭遇して助けたんだけど、その時脚を軽く捻挫したみたいで知り合いの先生に見てもらったんだよ。」
「莉子は大丈夫なのか?」
「大丈夫だよ、送っていこうとしたんだがひとり暮らしだと聞いたし脚も捻挫してるから俺んちに連れてきたんだ」「そうなのかすまなかったな。でもお前よく莉子だとわかったな?」
「スマホの待受を見せられたんだよ。お前と同じだった。どんだけ妹好きなんだよ」「悪いか、それで莉子は?」「代わるよ」
電話を代わってもらって兄と話をする。「大丈夫なのか莉子」「大丈夫だよレンレン」「迎えに行くよ」
「あのね今日は涼さんのお姉さんが来るから一緒に食事するの」「そうかじゃ夕方行くな」「はい」電話を代わる。「蓮、莉子もらったから」「えっお前マジ?」「一目惚れなんだ」「本気なのか?」「本気だよ大切にするから」「夕方行くからそれまで莉子を頼むよ」「わかった責任持って預かるよ」電話を切って彼は大きなため息をついた。「俺殴られるかなぁ」「そんなことさせません」「莉子…ありがとう。オレはこんな極道だけど卑劣なことはやってない。お前を大切にするから傍に居てほしい」
彼にそう言われて私はある決心をしていた。
「莉子が傍にいたら嬉しい?」「そりゃ嬉しいよ。毎日お前と一緒にいて飯食って風呂入ってお前を抱いて寝る、こんな幸せはないよ。毎日毎日お前の笑顔に包まれていたい」「うふふ涼さん可愛い」「えっオレマジだよ?本気だからね?」「はい、わかってます」「じゃ風呂入ろう」「入らなきゃダメ?」「ダメだね、入ろうよ、イチャイチャしよ?」
甘えたように言う彼に負けて私はお風呂に拐われた。
寝間着を脱がされて恥ずかしくて胸を隠したら手を退けられてしまう。「お山隠すな、オレ好きなんだから、華奢なくせにお山は立派だよね」「ヤダ見ないでください」「ヤダよオレのだからね」「莉子のです」
バスルームでキャッキャとはしゃぐ二人。
「アニキ若、風呂ではしゃいでますよ?」 片瀬に若い衆が言った。「あんな若初めてだよな、耳塞いどけ」片瀬は涼の変化を嬉しく受け止めていた。
お風呂から出ると彼が髪を乾かしてくれて着替えて湿布を貼ってくれた。
「ありがとうございます」
「ホラおいで」「歩けるから、手を繋いでください」
はにかんでそう言うと彼は照れ笑いを浮かべて手を差し出した。若い衆達はもう朝食が終わっていた。
文さんが朝食を準備してくれていて彼と頂く。
そこへ昨日は会合で居なかった父(組長)が来る。
「おはよう」「オヤジおはよう」私は立ち上がり頭を下げて挨拶をした。
「おはようございます。水沢莉子と申します、お邪魔しています」「おはよう座ってていいよ。怪我してるんだろ?片瀬から聞いた」「うん」「お前が女性連れてくるなんて初めてだよなぁ」「偶然なんだけど蓮の妹なんだよ」「蓮くんの?へーきれいなお嬢さんだな」
そこへ今度は玲子さんがやってくる。「莉子ちゃんおはよう」「おはようございます。お姉様昨日はありがとうございました」「どういたしまして。似合うわね?スタイルいいからぁ、パパおはようございます」「おはよう今日は休みなのか?」「そうなの莉子ちゃんに会いに来たのよ」「あのさ姉貴、実は莉子は蓮の妹だったんだよ」「蓮くん?水沢蓮?そうなの?誰かに似てると思ったわ」玲子さんはじっと私を見て言った。
「莉子ちゃん、私の義妹になってね?」「はい?」「私あなたが気に入ったの、涼あなた絶対莉子ちゃんと結婚しなさい」「姉貴、反対されるだろ?俺なんか」「バカね自信を持ちなさい、アンタいい男だよ。我が弟ながら。私が説得してあげるから。いい?莉子ちゃん」「あっはい」「いい子ね。今学生?」「青学2年です。」「そうなの?後輩ね。パパ蓮のお父様知ってるわよね?」「あぁ水沢悠さんだろ?仕事の付き合いもあるし涼と蓮くんは親友だからね」「なら大丈夫じゃない」「夕方蓮来るよ」「そうなの?任せて」
何故か話がトントン拍子に進んでいた。
「莉子ちゃんひとり暮らしなの?」「はいひとり暮らししてみたくて半年前から」「そうなの?どこに住んでるの?」「青山のヒルサイドテラスです」「待って何階?」「最上階です東の角部屋」「私西の角部屋よ。なんて偶然?」「ホントですか?びっくり」
びっくりな偶然が揃いすぎて一同唖然とした。
その時若い衆の一人が
「莉子さん帰っちゃうんですか?」「はい、いつまでもお世話になるわけにはいきませんから」「寂しいっすよ、楽しかったのに」
若い衆が口を揃えて言う。
「莉子ちゃん嫌じゃなかったらいたら?家はいてくれていいのよ?」「オレもいてくれたら嬉しいよ莉子」
彼が甘々な笑顔でそういうのでお父様の顔を見ると
「好きなだけいるといいよ、文さんを手伝ってもらえると助かる。お父さんには私からも話しておくよ」「文もいてもらえると助かります」文さんまでもが懇願するように見つめる。「はい兄に相談します」「私がお願いするわ任せて!」みなさんにお願いされて私はもうこの家にいる決心をしていた。
「みなさんのお名前教えてくださいね、覚えます」
「やったぁ、莉子さんいてくださるんですね?」「はいよろしくお願いします」
「お任せください莉子さん俺達で守ります」
若い衆の人達が大喜びで私はこんな喜びを感じたことは無かった。
それから彼がお仕事に行くのを見送り、私は文さんのお手伝いを玲子さんとした。「なんか莉子ちゃんが来て若い衆も楽しそうね」
「莉子ちゃんすっかりうちのアイドルですよ、嬢ちゃま」「文さんはいつまでも嬢ちゃまなんだから」
そう言いながら嬉しそうに笑う玲子さんはショートレイヤーの色白の美人さんで雑誌モデルもしていたらしい。玲子さんの部屋に案内されてドレスルームへ入ると、そこにはきれいに整理された洋服、靴、バッグ、アクセサリーが置かれていた。「凄いですね。」
「たくさんあるから持っていけなくて置いてあるの。莉子ちゃん私と同じサイズだからどれでも着ていいからね。自由に使ってね。靴も同じでしょ」「はい、わぁ素敵、ありがとうございます」「トップスとかパンツ、スカートはここにあるからね、莉子ちゃんにあげるから」「いいんですか?」「いいわよ、私妹が欲しかったのよ、だから涼があなたと出会えて嬉しいの」「お姉様ありがとうございます」「玲子でいいから」「はいよろしくお願いします玲子さん」「ええ、よろしくね莉子ちゃん」
玲子さんはとても優しくて私を大事にしてくれる。
「莉子さーん」と若い衆の新さんに呼ばれる。
「新さんどうしました?」
「これオヤジから預かってきました。」「ありがとうございます。何かしら」
「チーズケーキよ、ここの美味しいの。パパったら莉子ちゃんにメロメロね」
「たくさんありますから、これはアップルパイだそうです。食べてください」
「ありがとうございます、みなさん帰ったら食べてくださいね」「はい、では戻ります」「行ってらっしゃいませ」新さんを見送り
玲子さんが紅茶を入れてくれて文さんと3人で話をした。「蓮くんの上のお兄様は?」「横浜にいます、別の会社を任されていて」
「結婚は?」「まだですね、兄は女性が苦手なんです」「そうなの?」「恋人は男性です」「そうなのね、蓮くんは?」「レンレンは特定の人はいないみたいです、私がうるさく言うから」「あらぁ蓮くん大好きなのね」「はい、いつも傍にいてくれるから」
「そう?幸せね、莉子ちゃんって性格可愛いもの、あの人見知りの涼が自分から助けたって聞いてびっくりしたわ」「そうですよ、涼さんは奥手ですからね」
「涼の下に弟がいるんだけど、今アメリカに留学してるのよ」「そうなんですか?いくつですか?」
「19だから莉子ちゃんと同じね」「へー」「夏には帰ってくるわよ」「そうなんですか?楽しみです」
そして夕方兄の蓮がやって来た。
みんな帰宅して食事をしている時だった。
「叔父さんご無沙汰してます」「蓮くん久しぶりだね」「この度は妹がお世話かけました」「いやぁ偶然にも君の妹さんと聞いてびっくりしたよ」「涼ホントにありがとう」蓮は深々と頭を下げた。そこへ玲子さんが来る。「蓮くん久しぶり」「玲子さんご無沙汰してます」「あなたイケメンに磨きがかかったわね」
「いえ、妹がありがとうございました」「莉子ちゃん可愛くて私気に入っちゃったのよ。私の妹にするからね」「えっ」「蓮くん座りなさい、私と1杯やらないか?」「はい」蓮はお父様の向かいに座りお酒を飲み始めた。「蓮くん莉子ちゃんしばらく預かるわね」
「えっ、どうして?」「ひとり暮らししてるって聞いたわ。しかも私と同じマンションの東と西の角部屋」
「玲子さんもあそこにいるんですか?」「そうなのよ、びっくりしたわ」「なんか偶然が重なりすぎてるだろ?蓮」「あぁ驚きだよ、助けてくれたのがお前だってのもびっくりだし。それで預かるって?」「私が話すわ。涼と莉子ちゃんは昨日の偶然の出逢いから恋に落ちたの。涼は人見知りで自分から声をかけたりしないんだけど莉子ちゃんは違ったのよ、お互い一目惚れで二人は結ばれたの」
「涼、マジか?」「あぁ俺こんな気持ちになったのは初めてなんだよ」「だろうな大学のときも言いよる女全部振ってたもんな」
「莉子は失いたくないって思った、だから昨夜は帰さなかった」「ふふっ参ったね。クールビューティーのお前が莉子に惚れるとはね」
「それでね先々で二人を結婚させるからね蓮くん」
「えっマジで言ってますか?玲子さん」「マジよ、だからしばらく家にいてもらって文さんのお手伝いしてもらったり、時々私のお店も来てもらうからカフェはお断りしてくれる?」
「莉子はどうなんだ?」
蓮に聞かれて私はきっぱりと言った。
「此処にいます、涼さんの傍にいたい。愛してるの」
「気持ちは揺るがないか?」「はい」「わかった、一度ちゃんと父さんと母さんに話をしよう。」
「それは私が席を設けて話をするよ。大学へもここから行ってもらうからね」
「はい、涼、叔父さん、玲子さんみなさん妹をよろしくお願いします」蓮は深々と頭を下げた。翌日病院で診てもらって捻挫は落ち着いていた。その後マンションへ戻り必要な物を纏めた。

「へー可愛い部屋だな、莉子らしい」「そう?」「このペンギンのぬいぐるみ持っていくの?」「はいこれはレンレンがくれた宝物なの」

「ふふっ可愛いね」「可愛いでしょ?」「君がね可愛いの」

彼はそう言うと抱きしめてKissを落とした。「可愛いくて可愛くて堪んない莉子」抱きしめられてあっという間に服を脱がされてベッドに運ばれる。「莉子…好きだよ」「涼」

甘い陶酔の中へ墜ちてゆく二人。

「大丈夫?」「うん」「なんかさ顔見たら抱きしめたいしKissしたいし、離したくない」「そうなの?」

「莉子は?」「莉子も大好き、ずっとこの腕の中にいたい」「オレさ神様なんて信じないんだけどさ今回は信じるね。莉子と出逢わせてくれて感謝してる」「莉子も出逢ってくれてありがとう」「ずっと傍にいろよ?」「はい、離さないでね」

「オレの腕の中が莉子の居場所だからね」「はい、嬉しいです涼さん」


続く