ここから、裁判所の判断にはいります。最初は、死亡退社したAの出資金返還請求権についてです。


4、裁判所の判断
① Aの死亡に伴う出資金返還請求権
被告においては、社員の死亡はその社員の退社事由となり、出資社員が退社した場合には、被告に対する出資金返還請求権が発生する。Aは、昭和57年10月3日に死亡して被告愛全会の社員の資格を失った。そうすると、Aの相続人は、Aが退社した昭和57年10月3日から、被告に対する出資金返還請求権を行使することができたといえる。これを前提とすると、Aの相続人の被告に対する出資金返還請求権の消滅時効は、上記の通りAが退社した時から進行するから、同請求権について、既に10年の時効期間が経過していることは明らかである。(中略)したがって、原告の被告に対する出資金返還請求に係る請求権のうち、原告が相続したと主張するAの死亡に伴う出資金返還請求権は、時効により消滅したというべきである。


⇒退社による出資金返還請求権は、退社した日から10年を経過した日(平成4年10月3日)に時効消滅することが述べられています。そうすると、全体の出資金462万円の出資金のうち、442万円分の返還請求権が消滅したことになります。この消滅分の返還請求権はどうなってしまうのでしょうか?


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