「撮・照・録(さっしょうろく)」とは?

さて、今回は技術部の紹介です。
我ら現場では技術パートをまとめて「さっしょうろく」と呼ぶ事があります。
漢字で示すと分かりますが、撮影部・照明部・録音部の略ですね。
 
このブログではとにかくテクニカルな部分はかいつまんで、という主旨でというつもりでした。実際撮影機器や照明機材など技術的な事は細かく僕は分からないですし、特撮作品のなんたるやを少しでも深く知ってもらえれば僕は良いと思ったからです。
 
しかしながら僕がこの業界にいた20数年の間でさえ、撮影やメディアなどの技術の進歩には目覚ましいものがあります。特に撮影機材やCG合成の進化は今だに続き、これをかいつまみ説明するのは逆に分かりづらいなとも思ったのです。
 
という事でまずは「撮影部」を説明すると同時に特撮番組の撮影機材・スタッフ構成の移り変わりを説明していきましょうニコ
 
●16ミリフィルムでの撮影
戦隊シリーズも宇宙刑事から続くメタルヒーローも開始当時から約20年以上は16ミリフィルムによる撮影が行われていました。オープニングタイトルや特撮研究所が撮影するデュープ映像などには一部劇場作品に使われる35ミリフィルムでの撮影もされています。つまりは「テレビ映画」の趣で特撮作品は作られてました。
スタッフも代々撮影所出身の方が多く、映画撮影のフォーマットで撮影現場は進行されていました。
更に特撮番組の他のテレビ作品にあまり無い特徴として最たるものが
 
オールアフレコ!
 
という事。つまりは撮影時にセリフなどの音声を一切録音しないという事。
これは変身後のヒーローや怪獣・怪人、面を被って演ずる人が多い為仕上げの際に全体の音のバランスが取りやすいからと言われてます。(諸説ありと思われます^^;)
その結果フィルム撮影時、戦隊やメタルヒーローの撮影現場には録音部さんが存在しませんでした。これには現場での「音待ち」と言われる周りの騒音(工事音や車バイク、人の声など)を気にせず撮影を続けられるのとスタッフ雇用費の削減というメリットがありました。
ただ例外も多少あり、例えば「燃えろロボコン!」のいっけいさん・MIEさん撮影時にはスケジュールの部分的に録音部が現場に来るという事例も。(この辺は俳優さんと会社の政治事情ですね)
 
 
さあ遂に図解まで出て来てしまいました!こんなに頑張るつもりなかったのに(笑)
これを踏まえて撮影部さんの役割を説明します。
 
◯撮影(カメラマン・撮影監督)
クレジットとしては「撮影」と出ますが所謂カメラマン・撮影監督ですね。画面に映るもの、画角フレームを決めたりするとても重要なポスト。監督の要求を画として成立させてくれる現場の大黒柱です。
 
◯計測
撮影部のナンバー2。露出計を使用しカメラレンズの絞りを1カット撮影ごとに指示します。1日で日中何時間も撮影していると日照や天気によりカメラに映る被写体の明るさは常に変化します。これを調整する為、つまり編集で繋がった1シーンの映像がなるべく全て同じ明るさに見えるよう計測が明るさの基準を調整するのです。
そしてカメラを同時に2台使用して撮影する場合には、そのBカメラマンとしても活躍します。
 
◯撮影助手
文字通りですね。現場に1〜2人くらい居ます。現場での撮影機材のケア、カメラ・三脚のセッティングに運搬、更にはカメラレンズのピント送りなど作業します。そしてフィルム交換なども助手の仕事。撮影が終了すると帰着後に撮影機材の手入れ、翌日以降の撮影に備えます。
 
以上がフィルムカメラで撮影してた頃の特撮番組の撮影部さんの役割。この撮影スタイルが戦隊ではゴーオンジャーまで、メタルヒーロー枠では燃えろロボコン!まで続きます。
 
これが時代の流れと技術の進歩とともに撮影現場にも変化をもたらしていきます。
 
ビデオ撮影が特撮番組にも導入されていくのですゲロー
 
次回その②に続きます!