指向性エネルギー兵器（Directed Energy Weapon, DEW）は、主にレーザー、高出力マイクロ波（HPM: High-Power Microwave）、または粒子ビームを用いて、従来の弾薬や爆薬に頼らずに標的を無力化・破壊する技術

米国: 指向性エネルギー兵器の開発に多額を投資。2020年代に入り、陸軍の戦闘車両搭載型レーザーや、空軍の戦闘機搭載型レーザーがテスト段階に。

中国: レーザー兵器を既に配備済みとの報道あり、特にドローン対策や対艦ミサイル防衛に注力。

ロシア: 高出力レーザー「Peresvet」を実戦配備し、衛星や航空機のセンサー破壊を目的に使用。

アメリカ海軍がレーザー兵器システム（LaWS）を艦船に搭載してテストした例として、最初に挙げられるのは USSポンス（USS Ponce）です。USSポンスは、オースチン級揚陸艦（LPD）で、2014年8月にペルシャ湾で臨時前方展開基地船（AFSB(I)）として運用されている際に、LaWS（AN/SEQ-3 Laser Weapon System）が搭載されました。このシステムは、約33キロワットの出力を持つ固体レーザーで、ドローンや小型ボートなどの低脅威目標を無力化するために設計されています。

2014年の試験では、ScanEagle UAV（無人航空機）や模擬小型攻撃艇を成功裏に撃破し、実戦での使用許可も得ました。

その後、さらに進んだテストとして、USSポートランド（USS Portland, LPD-27）が挙げられます。サンアントニオ級揚陸艦であるこの艦は、2020年5月に固体レーザー技術成熟化レーザー兵器システムデモンストレーター（LWSD MK 2 MOD 0）を搭載し、太平洋でUAVの撃墜に成功しました。このシステムは150キロワット級で、LaWSよりも強力です。

また、近年ではアーレイ・バーク級駆逐艦にもレーザー兵器の搭載が進んでいます。例えば、USSプレブル（USS Preble, DDG-88）には、高エネルギーレーザーと統合光学ダズラーおよび監視システム（HELIOS）が2021年に設置され、2024年には対クルーズミサイル試験が行われました。HELIOSは60キロワット級で、将来的にはさらなる出力向上が期待されています。

これらの艦船におけるレーザー兵器の搭載は、主にドローンや小型船舶、さらには対艦ミサイルへの対抗を目的としており、アメリカ海軍の「Navy Laser Family of Systems（NFLoS）」計画の一環として進められています。

具体的には、USSポンスでの初期実証から始まり、USSポートランドやUSSプレブルへと発展しているのです。

2024年後半に、USSプレブルはHELIOSを用いた対空試験を実施しました。

この試験は太平洋のどこかで行われたとされており、その後も2025年にかけてHELIOSのテストが続く予定です。最近の情報では、2024年10月に横須賀（日本）に入港した記録がありますが、その後の具体的な動きは公開されていません。試験や任務がなければ、サンディエゴに戻っている可能性がありますが、太平洋地域での活動が続く場合、日本近海や西太平洋に留まっていることも考えられます。

推測される位置: 試験スケジュール次第ですが、2025年2月時点でサンディエゴか、または西太平洋での任務中（例えば横須賀周辺）のいずれかが可能性として高いです。