
来年5月で任期を終える十倉雅和会長が4年間の集大成としてまとめた。高齢者人口がピークを迎える2040年を目標に、克服すべき課題と対策を示した。
特徴的なのは、現役世代の社会保険料負担を抑えるために富裕層の課税負担増を打ち出した。来年度から所得の上位層を念頭に、段階的に税負担を拡大。10年後の34年度には5兆円程度の財源確保を目指す。

原発増設、マイナ徹底活用、裁量労働拡大
ただ、財源が不足する場合には消費税を増税するとも明記した。経団連はこれまで消費増税による社会保障の財源確保を主張しており「国民に消費税増税の理解を得るにはまず富裕層への増税が必要」(経団連幹部)と消費税増税への布石の富裕層負担増といえそうだ。
十倉会長は同日の会見で「経団連として決めたことなので後任の会長らには引き継いで実現してほしい」と述べた。
このほかの重点政策では、今後の電力需要の飛躍的増大に対処するため、原発全基の再稼働と早期の増設、マイナンバーの徹底活用、残業代ゼロの働き方である裁量労働制の拡大といった労働法制の見直し、教育・研究力の向上策、地方発展のために多極分散型の道州圏域構想などを盛り込んだ。