英語を学習するにあたってどうしても向き合わなくてはいけないのが、



語彙(単語)



です。




「単語は文章の文脈の中で覚えていくものであり、いちいち勉強しようと思って勉強するものではない」



ということを聞いたりすることがあるのですが、言いたいことはわかるものの、やはりそれは違うと思います。




まず、語学試験(TOEIC、TOEFL、英検など)などである程度点数をとるには、ある程度の語彙量が求められます。



これらの単語は通常の文章などを読んでいるだけではなかなか身につきません。


というより通常の文章ではあまり見かけることのない単語が多く、その試験によく出る単語なので、やはりその対策をしなくてはいけません。




では、どのように覚えればよいのか。




まず、「長期記憶」と関連付けることが大切です。



私たちが持つ「記憶」には、「短期記憶」と「長期記憶」というものがあります。



簡単に説明すると、



「短期記憶」とは短期間で簡単に忘れてしまうような記憶、つまり、脳がすぐに忘れても良いと判断してしまう記憶です。



「長期記憶」とは、長い期間が経っても(いつまでも)脳が保持しておく記憶のことです。





つまり、単語を保持しておくには、短期記憶を長期記憶に変える「維持リハーサル」を行う必要があるのです。




維持リハーサルとは、長期記憶に定着させるために、記憶すべき項目を何度も何度も復唱する方法です。



そう、復唱するのです。




単語をただ見るだけでなく、その単語を音声として何度も復唱することによって、その体験が脳の長期記憶へと刻み込まれることになるのです。




「単語は見るだけでなく、書くことによって定着する」



という意見をお持ちの方もいます。



そのほうが私には向いている、と言われれば私はあえて止めたくはないのですが、もともと単語というものは、運動やスポーツのように「身体に叩き込む」というものではなく、「脳に刻み込む」ものです。



つまり、個人的に「書きまくって単語を覚える」という方法はあまり勧めません。単語を書く時間があれば、より多くの単語に取り組み、そしてそれを何度も繰り返し学習することのほうがはるかに効率が良いです。





次に、どのような教材を選べばよいのか、という質問をよく受けます。



単語を長期記憶に保存しておくには、はっきり言って「単語だけ」を機械的に覚えようとしてもなかなか難しいです。その単語を「ひっぱってくる(思い出す)」きっかけというものが全くないからです。ヒントのようなものです。



そのきっかけ・ヒントを一緒に定着させるためには、「単語がどのように使われるのか」ということを一緒に知らなくてはなりません。つまり、使われる文脈を理解することによって、その単語が文章中に出てきたときに意味を簡単に思い出すことができるのです。




その観点から、単語帳は例文や長文が載っているものが適しているといえます。そしてさきほども申し上げたように、「復唱する」作業をするためにはその単語の「音」を知らなくてはならないので、音声教材(CDなど)が付属しているものが良いでしょう。つまり、



例文・長文などが紹介されていて、かつCDが付属されている単語帳



が語彙力をアップさせるための教材として適切です。






ただ、単語を勉強する際には、「英検の単語だけ」「TOEICの単語だけ」勉強するようにしてください。



いろいろな試験のために単語を勉強すると、互いが「干渉」を起こしてしまい、長期記憶への定着が「失敗」することがあります。



つまり、集中してその単語だけを、長期的に繰り返し覚えようとすることが長期記憶に残すことにつながるのです。




そして、「繰り返し」「長期的に」学習することが必要です。



長期記憶は、脳が「忘れてはいけない」と判断する項目について記憶するものなので、何度も繰り返しすることによって、「忘れてはいけない」と思わせることができるのです。



そして、少し時間を置いてその単語を「見ない期間」というものも必要です。


その単語をある期間見ないことによって脳からは記憶から消えかけようとしている時期に、再びその同じ単語を学習し、「思い出す」ことによって、徐々に長期記憶へとつながっているのです。





最後に、これは私の個人的な意見ですが、「単語は机に向かって学習するものではない」ということです。



机に向かって学習するのは、もっと他の、リーディング対策とか文法対策とかを行うときで良く、単語を学習するのは別の機会にするのが良い、と考えています。



というのは、人間は同じ作業を長時間繰り返すことにどうしても「飽きてしまう」ので、ずっと机に向かって同じ英語を長時間学習することにも飽きてしまうことがあるのです。



単語だけは比較的場所を選ばずに学習できるので、その「飽き」を感じさせないためにも違う場所・機会で学習することが良いのです。



例えば、通勤・通学の電車やバスの中で見ること。決まった時間に毎回繰り返し学習するというクセが、うまく長期記憶に結びつきます。



仕事の休憩時間などに学習のも有効です。ある程度時間が決まっているからです。



もちろん、「書く」のではなく「見て」「復唱」するのが大切ですから、「復唱」するのは時に小声で他人に聞こえないレベルでする必要があるでしょう。変な人と思われるかもしれませんからね(笑)。






常に、長期記憶への定着を意識して、単語を勉強するようにしましょう!