固定資産税の家屋の評価は、再建築価格方式が採用されており、これが複雑な仕組みで分かりにくくなっています。

 

 ところで、一般的には、中古家屋(正式には「在来家屋」)は建築後年数が経過すれば評価額が下がる筈ですが、建設物価が高い時期(物価上昇期)には下がらず「据置」となります。

 

 この図のとおり、中古家屋の評価額は、単に前年の評価額(「前基準年度再建築費評点」)に築年数(「経年減点補正率」)を乗ずるだけではなく、「再建築費評点補正率」というそのときの建設物価も考慮されます。

 

 建設物価下落時には築年数に応じて評価額も下がりますが、建設物価の上昇時には計算上の評価額が上回る場合もあります。

 

 しかし、中古家屋の評価額(税額)を上げる訳にはいかず「評価額据置」にされます。

 

 ここに「再建築費評点補正率」とありますが、固定資産評価基準に次のように定義されています。

 

<固定資産評価基準(在来分の「再建築費評点補正率」)>
「再建築費評点補正率は、基準年度の賦課期日の属する年の2年前の7月現在の東京都(特別区の区域)における物価水準により算定した工事原価に相当する費用の前基準年度の賦課期日の属する年の2年前の7月現在の当該費用に対する割合を基礎として定めたものである。」

 

 つまり、再建築費評点補正率とは、東京都特別区の工事原価の物価水準で3年前の水準と比較してどの程度上下しているのかその割合ということになります。


 令和6年度では、木造1.11、非木造1.07とされており上昇していることになります。
 

 実は、この再建築費評点補正率はここ4基準年度上がり続けているのです。

 

 このように、固定資産税家屋の再建築価格方式では、単に築年数の減価だけではなく、工事原価(建設物価)の物価水準も関連づけて評価されているため、築年数を経るに従って単に評価額が下がる仕組みにはなっていないのです。

 

(以上です)