おかしなトイレを見つけました。
 パブのトイレです。一応、個室なのですが、個室が大きくて、ドアを開けると和式のトイレがあって、その奥に男性用の朝顔があるのです。そして、朝顔の後ろに手洗い用の洗面があります。和式は一応、囲まれているのですが、ドアらしきものはありません。たぶん、もともとは、振り分けのトイレだったのでしょう。
 朝顔との間に仕切りはあるのですが、もちろん、ドアをあければ、奥に男性がいるかどうかは分かります。だからなのでしょうか、男性はドアにカギをしない人が多いようなのです。
 ですから、女性はドアを開け、奥に男性の背中が見えたら、そのままドアの外で待つことになります。私も一度目はそうしました。
 二度目は、気の弱そうなおじさん、いえ、もはや初老の男性が入った直後に、あえてトイレに立ちました。話しに熱中していた私の友だちは、当然、そんなことには気がつかなかったはずです。
 ドアにはカギはかけられていませんでした。中年過ぎの男性は圧倒的にカギをしないようなのです。それは、他の似たようなトイレでも経験していますから、よく知っていました。
 私は、ドアをソッとあけると、カギをして、ドアのない個室に飛び込みました。パンツルックでしたから、お尻もアソコも丸見えになるはずです。鏡で化粧を確認しているふりもしました。朝顔にも水洗はついているのに音はしません。彼は、私が入ったのに気がついて、ソッと覗くことにしたようです。
 心臓がバクバクとして、膝が震えました。深夜の街を全裸で歩く以上の恐怖があったように思います。
 そのままにしていては、怪しまれると思い、必死にオシッコを出そうとしました。チャンスを待つ間、ガマンしていたので、膀胱はパンパンです。でも、出ません。鏡で彼の顔をとらえることができました。
 彼は、床にしゃがむようにして、私のアソコを下から覗いていました。そんなにもアソコが見たいのだと思うと、興奮してきました。
 でも、オシッコは出ません。無理に出そうとするとオナラが出てしまいそうなのです。オシッコもアソコもお尻の穴まで見せようとしているのに、オナラの音を聞かれると思うと、急に恥ずかしくなりました。
 目を閉じ、何も考えないようにして、ようやくオシッコが出ました。激しい音がします。恥ずかしいほど勢いがよく、そして、長いオシッコでした。本当はそれを見つめる彼の顔を見たかったのですが、目を閉じたままでオシッコを終えてしまいました。よかったと安心した瞬間、私は、イヤな予感がして、思わず後ろを向いてしまったのです。そのままオシッコを見たら、ソッと出て行ってくれると思った私の考えが甘いのでした。
「ごめんごめん、おじさん、先に入ってたんだよ」と、言うのですが、ペニスを出したままなのです。ズボンをおろしていたのです。私は「すいません、気がつかなくて、すぐに出ますから」と、言いました。いつも思うことですが、そうしたときの会話って、後から考えると意味不明なんですよね。
「いいよいいよ、おかしな作りだもんね、ここのトイレ、おかげで、おじさんも若い女の子のお尻見せてもらえちゃった」と、言ったあと「ウンチもするの」と、聞かれました。そして「おじさん、小便してたらウンチしたくなって、そしたらお嬢ちゃんが入ってたんで、ウンチじゃないなら、おじさん、使っていいかなあ」と、言うのです。
 私は、トイレットペーパーでアソコを拭き、ペニスを見ながら、パンツを上げました。彼との距離はほんの少しです。トイレを出ようとすれば、ペニスに身体が触れるほどの狭いところを通り、私はドアを開けました。中からカチャと、カギをかける音がしました。それだけなのです。触られることも、触らされることもありませんでした。もっとも、彼にしても、本当に私が知らずに入っていたとしたら、と、思ったら変なことはできないのでしょう。
 私は、それから、しばらく友だちと話しながらお酒を飲みました。幸い、おじさんとは目が合わない席でしたが、おじさんも、何事もなかったかのように、お酒を飲みつづけていたようです。
 オシャレなパブなので、女一人では入り難いので、もう一度、同じことができるとは思えません。でも、私は、友だちに「あのお店いいよね」と、執拗に言いました。あの興奮をもう一度味わいたかったからです。