お蔭様でミュージカル『HOPE』無事に全公演終了いたしました。
今まで当たり前のように言っていたこの「無事に終了いたしました」も今の状況下では奇跡に近いこととなってしまい、無事に終了したことへの感謝を心から感じています。多くの感染防止対策へのご協力ありがとうございました。
このミュージカル『HOPE』は新納慎也の初演出作品となりました。
初演出・初上演台本・初訳詞!
こんなに一気に「初」を経験させていただき、本当に素晴らしい経験となりました。
言葉を大切にしたかったし、統一された世界観でこの作品を創り上げたかった。無謀かもしれないと思いましたが、全身全霊をこの作品に掛け、一生懸命『HOPE』を創り上げました。
ありがたいことに全てのCAST、すべてのSTAFFがたくさんの力を貸してくださり、ミュージカル『HOPE』は大成功で終演することができました。
初めてこの作品の台本を読んだ時、その構成の素晴らしさに心を奪われました。でも、日本のお客様にもっと寄り添える、日本人の心に沁み入る様な作品にしたかったので、韓国側の権利元から許可を受け、様々なものを日本版として変更することにしました。
日本版として手を加えることを許してくれた韓国側のお陰で、この作品の本来持つ素晴らしさを日本のお客さまにも伝えることができたのではないかと思っています。
海外の作品を日本で上演する場合、全てのものを海外のものと同じ様に上演する“レプリカ”と呼ばれる作品が多い中、この『HOPE』はレプリカではなく、“日本版”として創作することが許されたのも僕の初演出作品として嬉しく思いました。そのお陰で僕の「これが観たい!」を沢山詰め込めたように思います。
そんな僕の様々な挑戦に出演者の皆さんも協力的で、「この日本初演の、新納が創る『HOPE』を絶対に成功させてやるぞ!」という感じで、たくさん力を貸してくれました。初めて本読みをした時に、僕の頭の中のそれぞれのキャラクターイメージを何倍も飛び越えて、何倍も魅力歴なキャラクターを生み出してくれた俳優陣の素晴らしさは今でも忘れられません。俳優って凄いと思えた瞬間でした。
おそらく今回の出演者は僕を“演出家”というより“俳優仲間の一人”として見ていてくれた気がします。僕もそんな気分だったかもしれません。たまたま前から見ているというだけ。だから、そこに大きな垣根もなく、自由に意見をし合え、ディスカッションし合える理想的な演劇創作の稽古場だったのではないかと思います。
「心」「痛み」この言葉を多く稽古場で言いました。俳優陣は常に新鮮に心を開放して役に挑んでくれたように思います。
この作品は“型”では出来ない。その日その日、その時その時感じる“心”で向き合わないと成立しないのです。これは僕が俳優として常日頃心がけていることなのですが、その考えに誰一人反対することなく、みんなが必死で役を創り上げていく姿に涙が出そうでした、本当に素晴らしいカンパニーです。
スタッフも信頼のおける人たちに集まってもらいました。
各セクションの人たちが右も左も分からない、ひよっこ演出家の僕の意見を何とか具現化しようと尽力くださったのも感謝しかありません。
そして、この僕に演出をさせてみようとしたHOPE制作委員会の皆様!その勇気に拍手!お蔭様で演出家としてデビューすることができました。演出家としての才能があるかどうかはやってみないと分からない。そして終わった今、その判断はお客様がすることで、僕にも未だに分からない。そんな不確かな世界の不確かな挑戦をしてくださったこと、心から感謝します。
演出家というのはやりたいこと、想像していることの50%が出来れば御の字、と言われましたが、出演者&STAFFのお陰で、85%くらいは叶えさせてもらえました。これは本当に本当に凄いこと。とても満足のいく、いや、想像の何倍も上をいく満足度でした。
そして!!!何より!!!
お客様!!!!!!
今の状況下で命がけで劇場に足を運んでくださったお客様!
本当にうれしい!
ほぼ全公演観ていたのですが、感染防止対策を完璧にした観客の皆様が、『HOPE』の世界で涙している様子を見て、僕はこの上なく感動しました。
ありがとうございました!!!!
こうやって新納慎也の初演出作品は僕の中では大成功で終わりました。
「また演出やってみたいですか?」「演出と俳優とどちらが好きですか?」
と何度も聞かれました。
もちろんまたその機会を与えてくださるなら演出やってみたいです!こんなに素敵な経験をまたやらせていただけるなら拒む理由はありません!
でも、俳優をやめて演出家だけになることは、今のところないと思います。
演出を経験して、俳優としても多くのことを学びました。今はこの経験を経た自分が俳優として次に立つ舞台でどの様に変化しているのかが楽しみで仕方ないです。
いずれにしても、演劇・舞台・エンターテイメントに携わり続け、それを愛する皆様と空間と時間を共有して、ともに心を動かし続けられるのなら、これほど幸せなことはありません。
世界は今、大変な状況下にあります。
そんなコロナ禍で僕は初演出をし作品を生み出しました。
今この状況だからこそ強く感じられたことも多かった。
やはり人間は心を動かすことをも自粛してはいけないのです。
そして、舞台という芸術はそんな人間の心を動かすとても素敵なもの。
そんな素敵なものを創るチャンスを戴けて、そして多くの方がその素敵なもので心を動かして頂いて本当に感謝しています。
応援していただいた皆様、本当にありがとうございました。
またいつか『HOPE』に逢えますように・・・。
ほなまた(^з^)/~~
演出家:新納慎也