どうしたら忘れられるの?
そればかりを考えていた日々があった。


忘れるなんて出来なかった。
忘れようなんて愚かな事。

記憶は、始終蘇るけれど、
どうして先生を好きになったのか、
今は、もう思い出す術も無い。



最後に会ったのは、昨年の冬。
変わらない姿に互いに笑みが零れ、
交わす言葉は、昔と変わらず、
それだけで私は、嬉しかったのを覚えてる。
芽生えていた恋心は、もう無いけれど、
今でも大好きなのは変わらない。
優しく微笑んでいて欲しいし、
先生の幸せを心から望んでいる。


担任でも、教科担任でも無かったのに、
気付いたら、もう大好きだった。


惹かれた想い
突き付けられた現実
諦めなければならなかった。

好きになればなる程、
辛くて、苦しくなるばかりだった。
私の好きは、恋愛感情。
先生の好きは、友情。
気の合う女生徒。



近くに感じていたのに、
本当は、ずっと遠かった。
だから、二人の想いは、常に平行線

近付いて、遠退いて、
決して交わりはしなかった。



ずっと一緒にいたかった。
本当は、好きだと言って欲しかった。
大切な教え子だなんて、
残酷な言葉にしか聞こえなかった。
この頃の私は、本当に先生が好きだった。
好きだったからこそ、
追い掛ける事を諦めた。


「はるかなら大丈夫。キミは強いから。」
先生の言った通り。
私は、微笑みを忘れてはいない。


いつか、自然とこの想いも、
時間に浚われてしまうだろう。
もしかしたら、
思い出す事さえしなくなるだろう。

こうして、偶に思い返してみても、
懐かしさしか感じられない。


胸を焦がす様な恋心は、完全に過去のもの。


互いを思い合ったからこそ、
私は、幸せな気持ちになれた。

互いに信頼し合ったからこそ、
先生は、私を大切だと言ってくれた。

叶わなくとも、それだけで充分だった。
それ以上の事なんて無かった。


今度会う時は、
互いに素敵な友人になるはず。



思い出は胸に仕舞い、
明日を夢見ながら、
今を大切にしていきたいね。