突然青少年のための大人の短編小説

タイトル「ペニスバンド・ロックンロール」

このペニスバンドという競技において、Xが登場する際には、ド派手な演出を行う費用と入場テーマを流さなければならず、著作権絡みの問題が浮上するために、プロ球団でも避けるのが通例である。

しかも、特にXを設定するメリットは無い上、逆にそのXにプレッシャーを与える可能性も出てくるので、来年度のルールブックからこのXの項は削除される事が決定している。

その事をコッテリ忘れていた龍原砲高校・松田かまいたち総助監督は赤っ恥を掻いた上に、一生ラジオ放送に葉書を送っても読まれない刑を受ける事となった。


龍原砲高校に動揺が走っているのは誰の目にも明らかであった。

キャプテンはアクメに達するように白目を剥いて、シャープペンシルの芯を折って飛ばす作業に余念が無い。

落ち着いた高崎もポマードを陰毛に塗りたくりながら、大声で「マラー!!!」と味方を鼓舞しながら相手を威嚇する。


『いける…いけるぞ…』


僕は興奮していた。しかしながら冷静で、絶妙のタイミングで「女工哀史」を放った鮫島先輩のペニスバンドのローションが乾き始めているのを見逃さず、ぺぺローションをベンチに要求したほどだ。


騒然となる場内。そこに野太い声が響く。


「まだ慌てるような時間じゃない」


五本の指をコンドームで包むというペナルティを受けながらも登場した龍原砲のX・魔界5号だ。


「南高梅は俺が潰す」


その魔界5号の言葉にいち早く反応したのは山王丸だった。


「待て。ヤツはおれがや…」


そういい終わる前に、山王丸の肛門付近にペニスバンドが突き刺さる。

肛門付近と記したのは決してそこは肛門の位置ではなく、もちろん、女性器にあたる部分でもない。

場内が香ばしい空気になってきたのは特筆する必要が無い代わりに、驚くべき事は、そのブッ刺した相手が後輩のマルシアであるという事だ。


ペニスバンド公式ルールブックの付録として金のエンゼルの1、16倍の確率でについてくる用語解説集(別売)によれば、後輩が先輩の肛門、またはその付近にペニスバンドを差し込んで落ち着かせる行為を「ユニオンファック」という。

これにはペニスバンドの暗黒歴史の1ページとして刻まれている事例がある。


事件は1940年に満州で行われた第21回ペニスバンドオリンピック(注:オリンピックは傀儡国家でしか行われない)の予選D組の会津藩vsテゴマスの熱狂的ファンという注目の一戦で起こった。

会津藩のポリネシアンハンターであったワインディング・ロード選手とテゴマスの熱狂的ファンのプッシーアナライザーであったマツリダ・ゴッホ選手が実は異母兄弟であった事が判明し、マツリダ・ゴッホ選手のイージーミスでの失点に、チームメイトから会津藩に内通しているのではないか?

そんな事はどうでもイイが、いい加減ジャニーズはメンバーの頭文字を組み合わせたユニット名で売り出すのは勘弁して欲しいなどという声が相次ぎ、両チームとも不穏な空気が流れた。


そこで弟にあたるワインディング・ロード選手が兄であるマツリダ・ゴッホ選手の肛門にペニスバンドをぶち込み、その場を収拾しようと試みた。

しかしながら『アナルは一方通行』という堅い頭をした当時の会長、及び統一機構の連中の逆鱗に触れ、ワインディング・ロード選手は即刻死刑となったのだ。

翌日、そんな弟を哀れみ、死をも意識したというマツリダ・ゴッホ選手は、大好きなおっぱいパブでいつもよりもちょっとだけ胸の大きい女の子を指名し、激しく胸を揉みながら、こんな名言を残した。


「ヒュー!最高!!」



「ユニオンファック」という言葉の由来については、「どうでもいい野暮な事を聞く前に、関数を覚えなさい。関数を。」と記されている。

肝心な事を1つも記さない公式ルールブックであるが、そこに人の『生』を感じてしまうのだから辞められない。


マルシアは言った。


「これが戦場なら、先輩斬られてますよ。」


試合はまだ始まったばかりだ。

そして、こんなに長々と書いたのに全く試合が進んでいない事に、僕(ごっちぇりん)は絶望した。

続く。