突然青少年のための大人の短編小説

タイトル「ペニスバンド・ロックンロール」

ペニスバンド部の新入部員は、僕を含めて3人だけであった。
そのうちの1人、高崎という男は中学時代に年一度のペニスバンドに魅せられた学生の為の祭典「ペニスバンド・ロックンロール」の前座で試合をした経験があるという男。
父親はプロペニスバンド球団・メコン川オールスターズ箱根支部の現監督で、昨年の天皇杯では常勝軍団・日光ギブミーチョコレーツを18-14で下して見事優勝を果たした。

高崎は小学校時代からペニスバンドという競技に魅せられ、中学の時には不動のポリネシアンハンター(野球で言うエースで4番に相当する)として活躍。
彼は中学時代から特Aランクとされる超難易度の高い「増田ドリラー」という技を使いこなし、都大会MVP、全国準優勝とベストナイン、ゴールデンペニー賞(野球で言うゴールデングラブ)を受賞したエリート中のエリート。
もう既にプロペニスバンド球団やたけし軍団、法の華三法行、オレンジ共済などのスカウトから注目されているようだ。

一方、もう1人の新入部員の吉岡という女は、ペニスバンドのストリートファイトと呼ばれる「猫ひろしと舘ひろし」という競技(通称ネコタチ)において、中学時代に全国を制した天才少女であった。
吉岡はその美貌から、「ネコタチのプリンセス」と呼ばれ、彼女がペニスバンド転向という知らせは、翌日のスポーツ紙の一面を賑わせた。
基本的に、このペニスバンドという競技には男女の区別は無い。
プロ人口ではむしろ、女子のプロ選手の方が多いほどだ。
そのため、吉岡も高崎と並んでプロ注目のスター候補生の1人として名を連ねていた。

そんな凄いのか凄くないのかよくわからない同期の2人の存在を知り、僕は目の前が真っ暗になった。
ただ、僕はまだ選ばれし人間である事に変わりはない。
負けるわけにはいかない。静かに闘争心に火がついた状態でもあった。

ちなみに我が高・私立龍艦砲高校の全部員は30名。
南高梅みちるキャプテンはもう既に「東北の乱交パーティー会場」の名で恐れられ、リーグ優勝2回、03年世界ブラスナックル&フィストファックリーグ選手権優勝という輝かしい成績を残しているプロペニスバンド球団「春霊のスピニングバードキック中にポーズボタンズ弘前別館」に、ドラフト1位指名される事が決定している。
この人が、僕に無理矢理入部届けを書かせた女性である。

キャプテンは努力家であった。
ライバルである姉妹校の私立龍原砲高校のキャプテン・山王丸ツネとは小学校時代からのライバルで、「美熟女」と称され、華麗な空中殺法と伝説のS級ランクの大技「蟻と太陽と虫眼鏡」を使いこなす山王丸とは対照的に、「ふぞろいな林檎」と称されていた。
キャプテンのペニスバンドに対する情熱はストイックという言葉そのものだった。
身の回りの道具は出来る限りペニスバンドで代用しており、先日1メートルはあろうかというペニスバンドに首輪(カリ輪と言った方が正しいのかもしれない)をつけて散歩をしていた所を目撃した時は、思わず声をかけ損ねたほどだ。

今年のテーマはやはり「打倒龍原砲」らしい。
昨年のペニスバンド・ロックンロール新人大会出場を賭けた関東大会決勝で、我が校は龍原砲と激突したらしい。
序盤こそレフトアタッカーの鮫島先輩の「女工哀史」が立て続けに決まり、センターヴァージンブレイカーの榊原先輩、プッシーアナライザーの田原俊彦先輩を中心とした守備陣の奮起により、龍原砲攻撃陣を完封していたが、第3ピリオド終盤にレフトヴァージンブレイカーの松岡先輩がペナルティエリア内で「リキュール類でわかめ酒」のファウルを取られ退場処分を受けると流れが変わり、その後何とか持ちこたえた我が校だったが、第4ピリオド終盤に美熟女・山王丸のSランクの大技「蟻と太陽と虫眼鏡」がペナルティエリア手前でフリーの状態で決まり逆転を許した。
最後の最後まで両サイドルチャドールの林先輩とトルネコ先輩が「即尺」の波状攻撃で龍原砲守備陣をかく乱するが、アタック陣が精彩を欠いた上に、度重なるチャージによって脱腸してしまった南高梅キャプテンのオリジナルホールド「イチジク浣腸及び肛門に関するチェック事項と罰則規定」も枠を捉える事はできずにタイムアップ。
惜しくもペニスバンド・ロックンロール出場を逃したのだった。

その後、龍原砲高校はペニスバンド・ロックンロール決勝まで勝ち進み、その決勝では絶対王者と呼ばれた聖ヤマハ・シスターズ女子高等部と球史に残る大熱戦を演じた。
結果は日光ギブミーチョコレーツの背番号69(サッカーでいう10番)ポリネシアンハンターで昨年のリーグ優勝に貢献したスーパースター・栗田選手の実の妹である栗林のS級ランクの伝説の大技「洗濯屋ケンちゃん」がゴールネットと龍原砲のプッシーアナライザーの黒木の心を揺らし、衝撃的な結末を迎えたのだった。
この試合で、聖ヤマハ・シスターズ女子高等部の守備陣が、山王丸の「蟻と太陽と虫眼鏡」を得意の守備陣形「スキューバーダイビング中に青姦。略してキ○ガイ」によって完璧に破った事は特筆すべき事であろう。

いずれにせよ、今度の都大会、そして関東大会は厳しい戦いが予想される。
僕はまだ入部2週間も経たない素人ではあるが、出来る限りチームメイトを支えたいと強く思った。
この頃、まさか僕がキャプテンとダブルポリネシアンハンターのポジションを任せられるなんて事を知る由も無かった…