2020/03/29

はるかな…いにしえ

はらり…ほらり
ぱらり…ぽらり
ばらり…ぼらり

みぞれに混じりながら
散る…さくらの花びらが
くもりガラスに集まる

その…いちまい…イチマイが
重なり…そして…連なり
あの人への
想いに繋がる

あの人も…
みているのだろうか
ちりゆく…
花びらを…
数えているのだろうか

あたし・は…いま
いつ…あえるとも
いつ…ふれるとも
わからぬ人に想いを寄せている

それは…ある日
ひとつの恋の…
終わりの日に…
偶然に掛かってきた…一本の
間違い電話から…始まった

あたし…の
あの方への連絡手段は…
偽の会社名を名乗り…
秘書代行に伝言をしていた

その日も
その伝言が伝わったかと…思い
あたし・は…
慌てて…受話器を取った

あたし「もしもし」
あの人「もしもし」

なぜか?
お互い…違うと…知りながらも
会話を続けてしまった
お互い…失礼を…詫びながらも
繋がる会話

その後…
不定期ながらも
どちらからともなく
掛け合うようになり
何気に…お互いの日常が
垣間見えるようになっていた
年齢…住まい…職業
好きな色…赤と黒
お酒は飲まない
パイ生地のケーキとアイス珈琲が好き
趣味は写真と音楽
その人に…リクエストをすると
受話器の向こうに
囁くように流してくれた

あたし・は…他愛の無い会話に
手離した…恋の傷み
ささくれた心の傷に
柔らかな湯が沁み渡る
温かさを感じていた
そして…
洗い髪を乾かしながらも
ドライヤーの音が
遮らぬように…と耳を澄ませ
メイク途中にも鏡の端に
電話機を写していた

あたし・は…いつの間にか
ランプが灯るのを
待ち焦がれるように
なっていた
♡それは…恋なのか♡



今日も…あの日と同じような
時期外れの雪が降っている

温度差で…くもるガラスに
恋の字を描いてみた
せつなくなった

それは…
触れ合う事だけが
恋じゃない…と…
知った
年齢になったから…
だろうか?


大好きな曲
「どうぞ…このまま」
聴けます事
♡とうこ♡