2024年6月20日(木) 曇り

 

今日の大阪は一日曇り空、湿度もそれほど高くなく比較的過ごしやすかったです。明日はまた晴れの予報ですが、週末には梅雨入りするみたいですね。

 

昨日は仕事が休みの水曜日、映画『ディア・ファミリー』を観てきました。

 

(C) 2024「ディア・ファミリー」製作委員会

 

映画『ディア・ファミリー』公式サイト

 

監 督:月川翔
原 作:清武英利
脚 本:林民夫
出 演:大泉洋、菅野美穂、福本莉子、新井美羽、上杉柊平、徳永えり、満島真之介、戸田菜穂、川栄李奈、有村架純、松村北斗、光石研

あらすじ
生まれつき心臓疾患を持っていた幼い娘・佳美は [余命10年]を突き付けられてしまう。「20歳になるまで生きられないだと…」
日本中どこの医療機関へ行っても変わることのない現実。そんな絶望の最中、小さな町工場を経営する父・宣政は「じゃあ俺が作ってやる」と立ち上がる。医療の知識も経験も何もない宣政の破天荒で切実な思いつき。娘の心臓に残された時間はたった10年。何もしなければ、死を待つだけの10年。坪井家は佳美の未来を変えるために立ち上がる。
絶対にあきらめない家族の途方もなく大きな挑戦が始まる―。

 

(C) 2024「ディア・ファミリー」製作委員会

 

自宅から自転車で10分の映画館『TOHOシネマズ セブンパーク天美』で鑑賞。SCREEN 10-プレミアムシアター(277席)、公開1週目の平日、あさイチ9時50分からの上映。観客は60人ぐらいで、平日にしてはたくさん入っていました。

水曜日は「TOHOウェンズデイ」で、毎週水曜日は誰でも1300円なので、普通の平日よりは観客は多くなるかな。

”プレミアムシアター”なので、スクリーンが大きくて音響設備も特別ですが、「プレミアムシート」ではなく普通のシートなので、値段は他のスクリーンと同じです。

(プレミアムシートを選ぶと、+500円です。)

 

 

監督は月川翔さん。1982年8月5日生まれ、東京都出身。東京芸術大学大学院映像研究科の黒沢清・北野武ゼミ1期生として、在学中に4作品を制作。2011年、「きっかけはYOU!」で長編映画監督デビュー。その後短編映画やテレビドラマの制作を経て2017年、映画『君の膵臓をたべたい』が第41回日本アカデミー賞優秀作品賞・話題賞を受賞。その後、映画『センセイ君主』、『響-HIBIKI-』、『君は月夜に光り輝く』等を監督。

映画『君の膵臓を食べたい』は、浜辺美波ちゃんが主演だったので、もちろん観に行って、ブログで感想を書いています。ブログでは、特に監督の事には触れていませんでした(笑)。

 

 

 

原作は、清武英利さんによる書下ろしノンフィクション『アトムの心臓「ディア・ファミリー」23年間の記録』。実話に基づいた映画です。

 

 

脚本は林民夫さん。多くの映画の脚本を手掛けていますが、僕が今まで映画館で観た映画でも、『永遠の0』(13)、『白ゆき姫殺人事件』(14)、『チア☆ダン〜女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話〜』(17)、『空飛ぶタイヤ』(18)、『糸』(18)と、どれもすごく面白かった映画の脚本を手掛けておられます。

 

主演は、娘の為に人工心臓を開発しようとする坪井宣政を演じる、大泉洋さん。演劇ユニット「TEAM NACS」メンバーで、北海道テレビ制作のバラエティ番組「水曜どうでしょう」で人気を博し、東京進出後は数多くの映画・テレビ・舞台作品で活躍しておられる、多才な俳優さんですね。

 

(C) 2024「ディア・ファミリー」製作委員会

 

バラエティ番組にも良く出演されており、お笑い芸人顔負けの抜群のトーク力で、俳優としてもコミカルな演技のイメージが強いですが、この映画ではコミカルな演技は封印し、シリアスな演技に終始していました。父として、技術者として、決してあきらめずに問題に立ち向かっていく演技、素晴らしかったです。

 

生まれつき心臓に疾患があり20歳まで生きられないと医師に宣告された娘・佳美を演じたのは、福本莉子さん。

2000年11月25日生まれ、大阪府出身。2016年開催の第8回「東宝シンデレラ」オーディションでグランプリを受賞。映画『のみとり侍』(18)でスクリーンデビュー、映画『しあわせのマスカット』(21)で初主演を務めています。
僕が映画館で観た出演映画は、『屍人荘の殺人』(19)、『思い、思われ、ふり、ふられ』(20)・・・いずれも浜辺美波ちゃんが出演している映画でした。

 

(C) 2024「ディア・ファミリー」製作委員会

 

最近は、TOHOシネマズで映画を観る事が多いので、本編が始まる前の”幕間映像「シネマチャンネル」”で、ナビゲーターとして東宝の新作映画を紹介しているのをいつも観ています。

 

 

 

この映画も、大泉洋さんと一緒に紹介しているのを観て、観に行く事にしました。

 

 

子ども時代のシーンも多いので、出演時間は思ったほど多くはありませんでしたが、主人公の坪井宣政は、娘である彼女の為に人工心臓の開発を目指すのですから、最も重要な役柄です。

子ども時代の佳美は、チアノーゼがハッキリわかるメイクがされていましたが、福本莉子さんが演じる佳美は、あまり病弱な感じではなくチアノーゼもありませんでした。何故かな?と思っていたら、理由がありました・・・

余命10年、美少女の難病もの・・・よくある絶対泣かせるパターンですが、やっぱり泣きました。でも、お涙頂戴的な物語ではなく、確かな希望も感じられる映画でした。

 

(C) 2024「ディア・ファミリー」製作委員会

 

この映画は実話を基にした映画で、原作は読んでいませんがネットで色々調べると、ストーリーはほぼ実話になぞらえて作られています。

予告編のラストで佳美が、「私の命は、もう大丈夫だから」と父の宣政に言っていますが、映画のこのシーンを観て泣いて、実話の部分も調べてこの予告編のシーンを観たら、また泣いてしまいました。このシーンとその後の宣政と佳美のやりとり、脚本でセリフ回しなどの演出はあるのでしょうが、ほぼ実話通りみたいです。難病を抱え、余命いくばくもない女の子が、こんな事を言えるなんて・・・本当に事実は小説より奇なりです。

(書いていて泣けてきた。)

そんな佳美役を演じた福本莉子さんの演技も、素晴らしかったです。

 

この映画は、夫婦、親子、姉妹、家族の絆の物語でもありました。

 

宣政の妻、佳美の母親役の菅野美穂さんも・・

 

(C) 2024「ディア・ファミリー」製作委員会

 

坪井家の三姉妹の長女・奈美(佳美は次女)役の川栄李奈さんも、素晴らしかったです。

父、母、姉、妹、それぞれの立場で佳美に対して色々な思いがあるのだと思いますが、佳美に対して明るくふるまう陰で流す奈美の涙に、僕も泣きました。

 

(C) 2024「ディア・ファミリー」製作委員会

 

日本の町工場からその技術力と努力で世界に通じる製品を開発するという、NHKの「プロジェクトX」みたいな物語と、家族の絆の物語、そして医療とは何のためにあるのかという当たり前の事を改めて考えさせられる物語で、最後には希望も感じさせられる、単なる難病もの、余命ものとは一線を画する映画でした。感動しました。

 

そして、このお話がほぼ実話である事に、さらに感動しました。

主人公の坪井宣政は、株式会社メディカルプロダクツの前社長筒井宣政さん。

メディカルプロダクツのウエブサイトや、筒井宣政さんのインタビュー記事、過去に放送されたドキュメンタリー番組の紹介を読むと、ほぼ映画の通りだとわかります。

 

 

 

「THEMIS6月号 連載 挑戦企業61「娘を救う」と挑み続け 東海メディカルプロダクツ「生命」救うカテーテル開発す」


中部経済連合会「頑張るChubu ビジネスづくり編」 一人でも多くの生命を救うため 国産初のIABPバルーンカテーテルを開発

 

 

 

国産初のIABPカテーテルを開発した筒井宣政さん、記事を読んで技術者として有能なだけでなく、経営者としても、プロジェクトのマネージメントに関しても非常に有能な人だとわかりました。

映画では、ほとんど何でも一人でやっている様に見えたり、大学の協力に関してあまり多くは描かれていませんでした。でも、医療機器の開発は決して一人でできる事ではなくて、大学や政府機関その他膨大なの人々の協力が必要です。映画では、人工心臓の開発こそ完成はできませんでしたが、人口心臓の開発の過程やIABPカテーテルの完成は比較的とんとん拍子に見えて、少し違和感がありました。

実際の開発研究、完成後の営業活動などはほとんど一人でやっていたみたいですが、臨床応用やデータの収集に関しては、大学の協力なしではできないはずです。

実際には、大学病院と共同研究をする一方、補助金を得るために会社を立ち上げたり、認可基準作りを厚生省(当時)のスタッフとしたりなど、開発に伴う様々な作業をこなしておられます。

2時間の映画の枠では、なかなかそこまで詳しい事は描けないですね。

 

(C) 2024「ディア・ファミリー」製作委員会

 

ちなみに、映画で共同研究する「東京都市医大」は、実話では「東京女子医大」でひらがな1字違い(笑)。

医療界の問題点も描いていましたが、やや中途半端。あの「東京都市医大」の教授は、保身のためにしか動かない小物感満載の、いかにも嫌~な医学部教授のステレオタイプで、ちょっと残念。実際、似たようなことはあったのかもしれませんが、東京女子医大の教授が怒ってこないかな(笑)。

実際どうだったのか、原作の『アトムの心臓「ディア・ファミリー」23年間の記録』を読みたくなりました。アマゾンでポちろう。

 

 

 

 

自分も大学で研究や治験をしていた時期がありましたが、今思うと何のためにやっていたのか・・・”約17万人の命を救う”という偉業は凡人の僕には到底無理ですが、この映画を観て、原点を思い起こさせられる気分になりました。

 

おススメの映画です。ぜひ映画館で!

 

おわり