2024年5月25日(土) 晴れ
今日の大阪は晴れましたが薄く雲がかかっていて、日差しはそれほど強くありませんでした。それでも、最高気温は27℃と夏日で蒸し暑い一日でした。
さて、5月22日の水曜日は仕事が休みで、映画『碁盤斬り』を観てきました。
(C) 2024「碁盤斬り」製作委員会
監 督:白石和彌
脚 本:加藤正人
出 演:草彅剛、清原果耶、中川大志、奥野瑛太、音尾琢真、市村正親、斎藤工、小泉今日子、國村隼
あらすじ
ある《冤罪事件》に巻き込まれた男の怒りを目撃せよ!
父娘の絆を斬ってもなお、武士には守らねばならない誇りがあった。
浪人・柳田格之進は身に覚えのない罪をきせられた上に妻も喪い、故郷の彦根藩を追われ、娘のお絹とふたり、江戸の貧乏長屋で暮らしている。
しかし、かねてから嗜む囲碁にもその実直な人柄が表れ、嘘偽りない勝負を心掛けている。
ある日、旧知の藩士により、悲劇の冤罪事件の真相を知らされた格之進とお絹は、復讐を決意する。
お絹は仇討ち決行のために、自らが犠牲になる道を選び……。
父と娘の、誇りをかけた闘いが始まる。
(C) 2024「碁盤斬り」製作委員会
家から自転車で10分の『TOHOシネマズ・セブンパーク天美』で鑑賞。
SCREEN 1(245席)、公開1週目の平日朝イチ9時20分からの上映、観客は12人ぐらい、男女比半々、年齢層は僕より高齢の方ばかりの印象でした。時代劇だし平日なので、こんな感じかな。
水曜日は「TOHOウェンズデイ」で、料金は1300円です(僕はシニアなので、どっちみち1300円ですが・・・。)
監督は白石和彌さん、1974年生まれ、北海道出身。2009年、『ロストパラダイス・イン・トーキョー』で長編監督作品デビュー。2017年には『彼女がその名を知らない鳥たち』で、2018年には『サニー/32』、『孤狼の血』、『止められるか、俺たちを』の3作品でブルーリボン賞監督賞を獲得。その他、『日本で一番悪い奴ら』(16)、『孤狼の血 LEVEL2』(21)、『死刑にいたる病』(22)など、話題作を多数監督されています。
『孤狼の血』、好きな映画です。『彼女がその名を知らない鳥たち』、蒼井優が凄かった。
主演は、草彅剛さん。映画『ミッドナイトスワン』(20)以来4年ぶりの主演映画だそうです。『ミッドナイトスワン』の草彅剛さんの演技、素晴らしかったですが(ブログで感想を書いています)、とりわけ眼の演技、声の演技、本作でも見事でした。
(C) 2024「碁盤斬り」製作委員会
ミッドナイトスワンの主人公と、この映画の主人公は表面的には、ある意味真逆と言えるかと思いますが、自分の信念を貫いているという点では、共通していると思いました。武士の本分を貫く、本当にかっこいい姿を草彅さんは演じ切っていました。
草彅剛さん演じる柳田格之進の娘、お絹役は清原果耶さん。2015年、連続テレビ小説『あさが来た』(15)で女優デビュー。連続テレビ小説では、広瀬すずちゃんがヒロインの『なつぞら』(19)ですずちゃんの妹役、『おかえりモネ』(21)ではヒロインを演じています。
(C) 2024「碁盤斬り」製作委員会
NHKのドラマ10 透明なゆりかご(18)は再放送で観ましたが、とても印象的でした。着実にステップアップしている若手の可愛い女優さんですが、演技派のイメージです。
ヒロインで出演していた映画『線は、僕を描く』(22)は、ブログで感想を書いています。
江戸時代の武士の娘、可憐な佇まいと武士の娘としての所作と気丈なふるまい、正に武士の娘たる演技でした。着物姿も美しく、時代劇がよく似合います。大河ドラマもOKじゃないかな。
(C) 2024「碁盤斬り」製作委員会
さて、この映画のストーリーは、古典落語の『柳田格之進』をベースに、脚本家の加藤正人さんがオリジナルのストーリーを作っていて、小説にもしています。
映画を観る前に落語を聴いたのですが、映画を観ると見事にネタバレでした(笑)。
今から映画を観に行く人は、映画を観てから落語を聴く方が良いかも。
落語「柳田格之進」 古今亭志ん朝
基本のストーリーは、落語とほぼ同じで、落ち(クライマックスシーン)もほぼ同じなんです。落語の方は、笑いを交えた江戸の人情噺なんですが、映画はそれに加えて敵討ちと武士の魂、そして若干のサスペンスを織り交ぜた内容になっています。
落語と映画で共通の登場人物で一番重要なのは、國村隼さん演じる萬屋源兵衛。映画でも主な登場人物で、主人公の柳田格之進とかかわるうちに変わっていくところが、落語を映画の違うところ。安定してた演技力、さすがです。
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落語と映画での共通の登場人物で、萬屋源兵衛と同じく重要なのは、中川大志さん演じる源兵衛の養子の弥吉、落語では萬屋の番頭として登場します。映画では源兵衛の養子ではありますが、番頭の下で働く奉公人です。
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若手のイケメン俳優、映画やテレビドラマ、CMなどで、僕の推しの広瀬すずちゃんや浜辺美波ちゃんとよく絡んでいる俳優さんで、よ~く知っていますが(笑)、とてもいい俳優さんですね。
映画『坂道のアポロン』(18)は、良かったなぁ~。
この映画でも、安定の演技でした。時代劇でも親和性抜群の印象でした。
落語には登場しなくて映画で重要な登場人物は、小泉今日子さん演じる吉原の置屋のおかみ、お庚。
80年代のトップアイドル、僕は聖子ちゃんファンですが、キョンキョンは別枠でちょっと好きだったけど、今やこんな役柄をできる女優さん。吉原の置屋のおかみ、もうなんか、ぴったりな感じで凄い貫禄というか、残念と言うか・・(笑)。
もちろん、演技も素晴らしかったですよ。
(C) 2024「碁盤斬り」製作委員会
落語と違って、映画ではこの人が設定されている事で、現代のコンプラに迎合しているというかなんというか・・・。落語ではこの人がいないので、娘のお絹は・・・(泣)
落語に登場しない人物で、ものすごくカッコよかったのが、賭け碁の元締め、長兵衛役の市村正親さん。
出演時間は短めで、物語の中では必要な役ではありますが重要な役ではないにかかわらず、その存在感は素晴らしいものがありました。絶対必要な役でした。
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斎藤工さん演じる柴田兵庫は、唯一の悪人、敵役です。めちゃめちゃ嫌な奴でした。そのクズっぷりが素晴らしかったです。
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藤沢周平や山本周五郎の時代小説をよく読んでいたので、時代劇は好きなのですが、映画で時代劇を見たのは久しぶりです。2021年の『燃えよ剣』以来かな、まあ、そもそも最近は時代劇の映画がほとんどありませんよね。テレビは大河ドラマ以外、民放はほぼ絶滅しています。
なので、時代劇をあまり見たことのない世代がこの映画を見ると、共感できない部分があるのだと思います。武士としての生き方や、武家の女性の立場や考え方など、現代のコンプライアンスでは考えられない事がたくさんありますから。
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それでも時代劇好きの世代は、エンターテイメントとして武士の魂に男のロマンと言うか(男のと言う文言で、すでにコンプラに抵触?)、その生き方に共感できるのです・・自分が実践するのは無理ですが(笑)。
ネタバレ気味になりますが・・・。
あらすじでは「お絹は仇討ち決行のために、自らが犠牲になる道を選び……。」とありますが、この部分はちょっと違和感がありました。
(C) 2024「碁盤斬り」製作委員会
ん?落語では敵討ちの下りは無くて、父親の武士としてのプライドを守るために50両というお金を工面するため、娘のお絹は自らが犠牲になる道を選びます。映画でも、落語と同様50両のお金を工面するために、自らが犠牲になる道を選ぶのですが、かたき討ちと50両のお金は直接関係ないと思うのです。
そして、柳田格之進が敵を討って本懐を遂げたとしても、50両が手に入るわけでは無いので、格之進はどうするつもりだったのかと思ってしまいます。武士としてのプライドを守るためだけに、娘を犠牲にしたことになってしまいます。
落語を聴いてから映画を観て、つじつま合わせで少しご都合主義的に感じた部分もありましたが、とても良い映画でした。面白かったです。
是非とも、映画館で観てください!
おわり