白坂です、

まずは、
宗教の定義から、、、

>「宗教とは、超人間的な秩序の信奉に基づく
人間の規範や価値観の体系のこと」

(『サピエンス全史』より一部引用)

・・・・・・・・

では
企業はどうなるのでしょうか?
敢えて、定義するならば

「企業とは、人間的な秩序の信奉に基づく
人間の規範や価値観の体系のこと」

となると思います。

・企業の規範・・・社内規則
・価値観  ・・・理念

つまり、
宗教と企業の違いというのは、
究極的には、組織に秩序をもたらす存在が

・超人的なものなのか?
それとも
・人間的なものなのか?

という違い、だけ、ということになります。


宗教:
・組織の参加者が安心・安定を求めている

・超人間的な存在が安心・安定を実現するための
 価値観や規範を教える

・参加者が安心・安定を得られると信じて
 価値観や規範を厳格に守る


企業:
・企業の参加者が安心・安定を求めている

・人間的な存在が安心・安定を実現するための
 価値観や規範を教える

・参加者が安心・安定を得られると信じて
 価値観や規範を厳格に守る


成功している宗教と成功している企業は、
外から見ると、かなり同質だということです。
成功している組織が、


>「まるで宗教のようだ」


と見られるのは、当然です。
組織の参加者が共通の価値観を元に、共通のルールを
厳格に守ろうとし続けているという点では同じですから。

違うのは、
・宗教は、超人的な存在が価値観と規範の背景に
 なっているのに対して、

・企業は、人間的な存在が価値観と規範を決めていて、
 そして、背景は


お金


です。

その「企業」における「価値観」と「規範」を
守り続けていたら、毎月決まった日に振り込まれる
固定給という安心・安定が与えられる、、、というのが
背景にあります。


企業参加者には潜在的に、資本主義教への信仰心がある


お金は、
見ず知らずの赤の他人の協力を可能にした道具と言えます。

元来、
人は、自分の親兄弟など家族しか信じていません。
本能的に、「相手がどんな人なのか?」分からない状態であれば
相手から自分の身を守るために、他人を警戒する方が自然です。

国の発展というのは、「この見ず知らずの人同士が
どれだけ協力するか?」にかかっています。


分業による協業による発展


1人で自己完結するより、2人でやった方が、
当然、分業による協業が進みます。互いに得意なことに
集中した方が効率が良くなるから、です。

であれば、
当然、人数が多ければ多いほど、分業による協業が進みます。
それぞれの人が、自分の受け持ち範囲の専門家になっていく
ことで、効率がどんどん上がっていきます。

ただ、
たくさんの人が一緒に働けば・働くほど、人間関係は
どんどん希薄になっていきます。単純に、一人一人との
接触回数と接触時間が少なくなっていくからです。

・ものすごく親密な人間関係が築けるのは7人まで
そして、
・どれほど優秀な指導者がどれほど優秀な管理制度で
 統制をしようとしても、1人が管理できるのは
 最大150名まで。


だから、
従業員が7名を超えると、社内全員の人と親密な
人間関係を維持することは出来なくなっていきます。

まして、
150名を超えている組織であれば、名前も顔も
知らない人とも一緒に働いていることになります。

組織が大きくなれば・なるほど、価値観が違う人たちが
一緒に働くことになります。価値観とは、その人が、

>「絶対に正しい」

と信じている信念が根拠になっています。
価値観が違うということは信じていることが違う
ということなので、決して分かり合えません。

たとえば、
・AさんはAこそが絶対的に正しいと信じており、
・BさんはBこそが絶対的に正しいと信じている

議論は無駄です。
絶対に分かり合えません。互いが互いで信じていることが
正しいと譲ることはありません。

であれば、
AさんとBさんという赤の他人が協力するには、

・価値観Aでもなければ
・価値観Bでもなく


組織共通の価値観Z


を判断の拠り所とするしか方法がありません。
企業共通の価値観として理念があるのは、赤の他人が
協力して組織のために行動するためには必須です。

日本企業99.7%が中小企業なのは、
従業員が7名を超えると親しい人間関係だけでは
組織を運営できなくなるからです。


大企業化とは、いわば宗教化


企業が大企業になっていくというのは、
・個人の価値観よりも、企業の価値観
・個人のルールよりも、企業のルール

の方が重要になるということです。
一人一人の考えによる判断よりも、企業全体の
価値観とルールの方が優先されるようになります。
だからこそ、


大企業は安定している


「仕事をする人が誰なのか?」による商品・サービス提供の
バラツキが小さくなります。誰が提供しても100点満点では
ないかもしれないけれど、誰が提供しても78点以上のサービスは
確実に提供される。


マニュアルは最高を保証するものではなく最低基準を保証するもの


だから、
企業が大企業であればあるほど、

・企業全体の価値観への統一
・社内規則の厳守
・マニュアルの徹底、、、

が当たり前に行われるようになります。
それは、


安心・安定をもたらしてくれるであろう秩序への信仰


です。

だから、宗教と企業は外見上は同質になっていきます。
特に、「信者さんが多い大宗教組織」と「社員数が多い大企業」は
相当に同質になっていきます。違いがあるとしたら、


「価値観と規範を決めたのは誰なのか?」


という違いだけ。

・超人間的な存在が決めたとされているのか?
・人間が決めたのか?

だけの違いです。
いずれにしても


信じられている間は組織の中に居る。
信じられなくなったら組織から出る。


・宗教が「これが正しい」と定義している
 価値観と規範が自身の安心・安定に対して
 貢献していると信じられているか・どうか。

・企業が「これが正しい」と定義している
 価値観と規範が自身の安心・安定に対して
 貢献していると信じられているか・どうか。


宗教、または
>「まるで宗教みたい」と言われる企業が
揶揄されたり批判されたりするのは、
単純に完全完璧ではないから。

規則もマニュアルも最低限78点を保証する
ことは出来ても、100点満点は不可能です。

もし、大組織の構成員が「理念」「規則」
「マニュアル」通りに動いても1人・1人の
行動は100点満点にはなりません。あくまで
原則論なので例外対応には配慮が欠けます。ただ、


安定している


ということです。

大組織になれば・なるほど、バラツキは小さくなる。
変化が小さい。いきなり大きく飛躍することは
少なくなる代わりに、いきなり急速に悪化することも
また少なくなる。


安定している


・安心・安定を求める人がたくさんいる

・だから、安心・安定を求める人たちが
 大人数で働ける仕組みが「理念」「規則」
 「マニュアル」。

・結果、
 安心・安定を求める人たちが
 同じく、安心・安定を求める人たちに
 何らかの役務提供を行っている。


宗教と企業


宗教といえば、
・キリスト教・イスラム教・仏教・ヒンドゥー教、、、

企業といえば、
・トヨタ・キーエンス・ソニー・ソフトバンクG、、、


全然違うように見えて、本質的にはかなり近い。
すなわち、


安心・安定をもたらしてくれると信じるもののために
共通の「価値観や「規範」のもとで、大多数の
赤の他人同士が協力している組織


本当に成果を上げている大企業は、
どこか宗教的であるのは必然


7名以下であれば、互いの親しい人間関係だけで
経営できる。もちろんメリットもたくさんある。
実際、日本の99.7%は、個人事業主または
7名以下の中小企業を選択している。

ただ、
道徳的な善悪はともかく、大企業は中小企業とは
全然、違う論理で動いています。

・個人の価値観より会社全体の価値観
・個人の好みより会社全体の規則
・個人の自由より会社全体のマニュアル、、、

まず、本当に成果を上げている大企業は、
どこか宗教的であるのは当然というのを
理解することが、


社会をより本質的に観察することに繋がっていきます


今回は以上です。
本日も文章をお読みくださり感謝しています。
いつも本当にありがとうございます。

白坂慎太郎