久しぶりに、山に登った。

高さ400mの低山だ。

山の入口で、毎日、少しだけ登るという人に会った。

もう90歳近くだが、本人も言うように病気知らずのようだった。

サッカーで国体にも行ったことがあると話していた。

体を動かすことで、健康でいられるとも。

登りの所々に、アジサイの花が咲いていた。

青系が多かったが、ピンクも少しあった。

しばらく行くと、ラジオからの音楽とクマよけの鈴の音が聞こえてきた。

ひとりの人とすれ違った。

一か所、ずっと下って、また登る場所がある。

下っているときに、一組の夫婦が登ってきた。

「こんなにきついと思わなかった」と奥さんが話していたので

「ここを登り切れば、後は、きつくないですよ」と言うと、少しホッとした様子だった。

山の頂上では、登りが続き、階段も300段ほどあった。

頂上からは、遠くの山々を眺めた。

眺めながらパンと水で、一休みした。

一組の夫婦がやって来た。

私は一番見晴らしのいい席を使っていたので、別なテーブル席に腰かけた。

独占しては悪いと思い、一息ついて、山を降りることにした。

下り始めると、一人が登って来たので、軽く挨拶しあってお互いが道を譲りあって交差した。

ところが、その人は、電話を掛けながら戻って来た。

話の様子では、どなたかが病院に運ばれたので、戻らなければならなくなったようだった。

山を下りるまで1時間は掛かりそうだった。

山を歩くだけだが、時々、いろんな人生の場面に出会うような気がした。

また、時々、低山に登ろうと思う。