「人が皆、思ったままを口に出した

 としたら

 恐ろしい世の中になるだろう。

 世の中には言わぬ方がいいことが

 あるからね。」 


 この意見、誰でも同感でしょう。 

思ったこと、すぐまき散らすのは

人間関係自体を悪化させる態度ですから。


この誰でも言う言葉は

生涯キリスト教伝道に尽くした

『内村鑑三』

が家族に言ったものです。


内村鑑三だけに言葉に重みがあります。


と言うのも内村は生涯、『魂の救済』に

いのちを掛けた人だからです。


内村は自らの日記にも

思ったことを言う人間の闇について

所感を述べています。


或る精神を病んだ女性の救済を試みたが

叶わなかった件についてです。

このような内容です。


「彼女は高等教育を受けたものの、

 " わがまま性 "が増長し、

 ついに悲しむべき状態に至った。

 自己と自己のなすことについて

 毛頭疑念を抱かず、

 すべてこれを正しと確信してい

 た。」と。


自分の考えている事、言う事、理想が正義で

一切、周囲との兼ね合いのなかの

バランス感覚がない状態が

『ついには』

精神を乱してしまうことへの悲しみです。


内村は長男・祐之(ゆうし)が

精神科の医師になったことから

脳の学術的知識で

『心の救済』を担い、

自分の『魂の救済』との

今で言えば『コラボ』で 

真の『救済』への可能性に期待していますが、 

内村が触れていますように注意すべきは普段からの『わがまま性』

『思い込み』

『独善性』です。


100年以上前の日本人も今も

『闇』は同根です。


さて、どうするとこれらを克服できるのか。

どうすると

『鎮魂』

へ導かれるか。


それはトポスが示す『真の居場所』

つまり


『自分の役割』

『自己アイデンティティを担保する

 周辺環境』

に落ち着くこと。


筆者は切に思います。


そのための『トポス運動』です。


今回も最後までお読みいただきまして

ありがとうございました。