年明けから感染が拡大している新型コロナウィルス。そして感染を拡大させぬよう密集・密閉・密接の3密を避けるよう言われ、ステイホーム、テレワークなど今までとは生活スタイルの変更が浸透しています。

 

この状況の中で生活に不安を感じたり、気分的にイライラしたりすることが多いことでしょう。

 

最近、お参りに伺っても気分が落ち着く方法はありませんか?という質問を時々頂くようになりました。

 

不安、イライラは自我に由来することは明らかです。その自我に左右されないひと時のためにも日々の礼拝が大切だと教えられます。真宗では金子大榮先生が、「念仏は絶対沈黙の声、自我崩壊の音」というお言葉を残されています。

 

その礼拝と念仏ですが、私たちが声明(読経やお経に節をつけたもの、更にその作法等を含める)を習うときに、先生から何度も繰り返し指摘されることは姿勢と呼吸です。

ですので、今回は姿勢と呼吸を中心に説明し、このことがひと時でも気分の安定につながればと思います。

 

姿勢ですが、

①椅子に座っても、正座でも構いません、先ず骨盤が安定するように座ってください。椅子の場合背もたれにもたれかからないようにします。

②次に両手を上に伸ばし耳と腕が真っ直ぐになるように、指先で天井を支えるような気持ちで伸ばします。

③その伸ばした腕を真横に自然に下ろし、掌を足の上に軽くつけます。

④顎をひき、視線を1〜2メートルの間あたりを見つめます。

 

これで姿勢が安定します。

次に呼吸ですが、最初に息を吐いて次に吸います。それを1回とします。息を吐き切れば自然と息は吸えますので、吐くことに集中します。

①ゆっくりと息を吐きます。声明の時は声を出しますからもちろん口から息を吐きますが、練習の時は鼻から吐きます。個人差がありますが10〜15秒かけて吐きます。そうすると1分間に3〜5回の呼吸になります。

 

呼吸の時に体の何処を意識するかですが、それが難しい。深呼吸は肺を意識するでしょうし、事実空気は肺にしか入りません。

しかし意識は、古くは丹田といって臍下数センチのところなどと言われます。私は腰の後ろが下に引っ張られる感じです。腰とお腹の内部と言ってもいいのかも知れません。

大事なことは胸やみぞおちが緊張しすぎないように腰で姿勢を支えるようにします。

 

 

ここまで説明しましたが、お気づきになられた方もいらっしゃることと思いますが、姿勢を結跏趺坐、或いは半跏趺坐にしてクッションをお尻に敷き手を組めば坐禅の姿です。呼吸も変わらないのではないでしょうか。

 

坐禅の指導を受けたときも、禅宗の坐禅は自力でも他力でもない自然そのものとおっしゃっていましたが、理に叶っているのでしょう。理に叶うことを声明の先生は「労少なくして功多し」と説明されていました。

 

最後に仏教では身心一如などと、身の方を最初に書きます。一般的には心身でしょうが仏教は身が先です。調える時も先ず身の姿勢を心がけたいと思います。