サワギキョウはキキョウ科の多年草で、背丈はしばしば1メートルを超えます。
長さ2~3cmの花は左右対称で、一輪ずつ見ると、首を前に突き出して羽ばたく鳥のようにも見えてきます。
普通は枝分かれしない植物ですが、防風林と道路の間の空き地を除草するために除草剤が散布されたりすると、メインの成長点が枯れたサワギキョウが小さな枝を多数出していることがあります。
中層~高層湿原を好んで生えるサワギキョウは、湿地が排水されて乾燥が進み、泥炭がある程度分解しても生き残る傾向があるようです。
とある環境コンサルタントさんは
「石狩平野の田園地帯でサワギキョウを見かけると
『あぁ、昔はここも素晴らしい高層湿原だったんだろうな』と、
つい切なくなる」
と言っておられました。
そう聞いてしまうと、美しい青紫色の花も、農地化で壊滅した篠津原野の高層湿原と運命を共にした数々の動植物たちへの手向けの花のように見えてきます。
新篠津村内の防風林では、植林にあたってある程度の客土がされたものの、比較的最近までショウジョウバカマやカキランなどが随所に残存していたなど、湿原の植物が根強く生き残っているようです。
当会では、残存ミズゴケ湿地の保全活動や観察と並行して、その他の原野や防風林の探索も進めていく予定です。その過程で、沢山のサワギキョウに出会うことでしょう。