ツルコケモモ(Vaccinium oxycoccus) | 新篠津ツルコケモモを守る会

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北海道の新篠津村で再発見された高層湿原(ミズゴケ湿地)とその保護について、情報を発信していきます。

ツルコケモモはツツジ科の小低木です。
但し、小低木と言っても背丈は20cmを滅多に超えず、枝の太さは1mm程度で、まず草にしか見えません。


北海道の高層湿原では、まず間違いなくこの植物が見られます。植物群落の用語で「ツルコケモモ-ミズゴケクラス」は、強酸性の高層湿原の植生を指します。

ツルコケモモの遺骸は泥炭の中では分解しにくく、とくに枝は原形をとどめたまま残ります。植物の極めて硬い繊維が残った状態の泥炭は「針金泥炭」と呼ばれ、開拓農民を大いに悩ませました。細いがしなやかで容易に鍬を寄せ付けない枝を延々と伸ばすツルコケモモは、針金泥炭の元凶の筆頭でした。
その一方で、秋に実る直径1cm強の赤い球形の果実は、子どもたちの甘酸っぱいおやつになりました。英語圏で親しまれているクランベリー(Cranberry)とは、このツルコケモモのことです。


月ヶ湖湿原のツルコケモモ
新篠津村のお隣、月形町の月ヶ湖(つきがうみ)湿原のツルコケモモの花です。





新篠津村では、今回発見した湿地以外では、今のところ確認できていません。



葉は長さ4~10mmで、遠目には濃緑色に着色した米粒のように見えます。




本来好きなミズゴケのクッションだけでなく、ササやその他の草の間に生えているのは、元々あったミズゴケが乾燥で他の草に置き換えられ、辛うじてツルコケモモだけが生き残っているからでしょう。


ササなどの陰になっているせいか、新篠津村のツルコケモモには花が咲いた跡が見当たりませんでした。開花しなければ結実せず、新しい遺伝子の株が生まれず、環境の変化に弱くなります。
ツルコケモモが開花結実できる環境を、どうにかして取り戻したいものです。それが実現したら、新篠津村のツルコケモモの花や実の画像を、このブログで必ず紹介いたします。