『君たちは今が世界(すべて)』朝日奈あすか
角川書店
6年生,12歳。読んでいて、胸がひりつく。だれになんと言われようと、12歳の彼らには今が世界(すべて)なのだ。学校,家、とりまく同級生,大人たち。
学級崩壊寸前、いやもう既にか…。子どもたちの悪意ある行為の後、途中で去ることになる担任が言い放った言葉。「皆さんは、どうせ、たいした大人にはなれない」
その是非を問うてはいるのではない。
子どもたちはギリギリのところで,自分の居場所をどうにか確保し、それを守るために必死で生きる。そのためにとる行動,言動で、大人は彼らをわかったような気になってはいけない。知ろうとし続けること。
先日観た映画『怪物』も思い出す。
エピローグで、ほっとする。
私たちもそうだった。
君たちもいつか知る。
いつか大人になって,世界は広がってゆく。
そうであってほしい。
そして、そのために大人にできることを考え続け、していきたい。