『ロザリーのひみつ指令』 あかね書房

ティモテ•ド・ファンベル 作

イザベル・アルスノー 絵 杉田七重 訳


 おとうさんは戦地に赴き、おかあさんは軍需工場で働いているため、お母さんが働いている間、5歳のロザリーは、男子校の校長先生の計らいで、特別に教室の片隅で過ごすことに。


でもね、ロザリーの本当の姿は大尉で、指令が出されていて、ひみつの任務があるの。


 戦争という環境のなかで生きなければならない子ども。

 大人は、悲しい残酷な真実を子どもには伝えようとしない。子どもに絶望させたくないから?

耐えうる力が備わっていないから?

でも、もしかするとその真実を受け止めきれないのは大人の方なのかもしれない。

 そんなことも考えさせられた。


 赤毛のアンの言う、想像の翼は誰もが持ち合わせていて、特に子どもは、どこでもどんな状況でもそれを広げられる。

 ならば、その翼で、平和な空を自由にゆうゆうと、羽ばたかせたい。


 戦争がもたらす悲しみを感じるだけでなく、とても子どもの心を真摯に掬い上た上質な物語が読めた。