仕事やボランティア活動を辞めたり、キャンセルしたり、いざ介護!と張り切って臨んでみると

途方に暮れることがある。


 社会的に活躍してきた人ならなおさらだ。楽勝…なんて思っていると、社会は、動けない高齢者に便利な構造になっていない。



これは、実父の介護をした時の話。


介護のできる人間だと自分を過信して、実家で母が1人で面倒を見ていた実父を引き取った時のこと。


現在私は、9年前に脳出血して、左手足に麻痺が残り、身体障害者三級で、車の運転はしていないが、実父を介護していた13年前は運転もできた。


定期的に、大きな病院に通院しなくてはならない方もいらっしゃるでしょう。


まず、たいてい、駐車場から入口が遠いんですね。

入口に車を止め、病院の車椅子を借りる。どっこいしょと父を車椅子に乗せ、入口付近で、車椅子にストッパーをかけ、父を置き去りにして待たせて、駐車場に車を止めに行かねばならない。


このとき、シルバーボランティアの方が走ってきて、「診察券貸して、受付しておくから」なんて言って、父を病院内に連れて行ってくださった日にゃあ、涙が出る。


介護していると、弱者の生きづらさを目の当たりにする。

バリバリやってきた人には、自分が身を置いてきた社会とのギャップに途方に暮れるのだ。

まるで自分が弱者になったように。


そんなときに、先の他人様のなんとも言えない親切なご厚意に触れると、地獄で仏の思いを知る。


途方にくれながら、おろおろしながら、今まで感じることのなかった人の親切を身に染み込ませて生きていくことになる。