我が国の刑務所への累積再入率(再入所した者の累積人員の比率)は、刑期の満期釈放者の比率が相当に高いことはよく知られており、平成27年版の法務省発行「犯罪白書」にも記載されている通りである。



具体的な数字としては、満期釈放者の累積再入率は59.8%と約6割近く、半数以上の元満期受刑者が再び再入所することがデータ上示されている。

これに対して、仮釈放者は38.2%の累積再入率を示しており、この数字の違いは、満期釈放者と仮釈放者との釈放条件の違いにあると思われる。

満期釈放者は、裁判所で確定された刑罰が仮に懲役5年であるとすると、満期の5年間という刑期を勤め上げた後に無条件で出所の条件を満たす者のことをいう。

仮釈放者は、同じ5年という懲役を裁判で確定されたことまでは同様であるが、出所の条件として「改悛の状」、つまり受刑者当人に犯罪に対する罪の意識や更生への態度が認められることが必要である。

これらのデータが示すことからも分かるように、「改悛の状」無くして受刑者を刑務所から出所させることは未来の犯罪を誘発させる確率が極めて高く、政府や裁判所の刑事政策、判決の量刑判断に誤りがあるのではないかと思わざるを得ない。







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