最近、何故か剣道のことを続けて書いていた。今日は居合の話。

 

              宗家訓

 というのを知っている人は、多いだろう。もしかしたら、最近始めた年季の若い剣士は、知らないかもしれない。

 この宗家訓とは、

    第21代宗家 福井虎雄聖山先生

 が、 第20第宗家 河野百錬先生

から伝えられ広めたものなのだ。

 この宗家訓にまつわるエピソードを紹介したい。

 

 かいつまんで、紹介すると、この宗家訓がどのようにして広まったものなのか、昭和48年1月28日名古屋の某道場にて、その場に河野宗家のご臨席あり、その横に福井宗家がいらっしゃった。

 そこで、福井先生は、懐中から1片の紙片を取り出し、河野宗家にお見せした。その

 四つに畳んだ古びた紙片は、折り目が擦り切れかかっていた。

 それを見た、河野宗家は、しばし無言のままであったが、ややたって、

 「入門時の教えをよく守って居てくれた」

 旨の言葉を述べられた。

 この古びた用紙こそ、宗家訓が書かれためもであり、福井宗家が、

 「紙が擦り切れれば、新しい紙に書き直し、終戦より、北支から引き上げの際も肌身離さず、持ち帰り今日に至っています。」

 旨の趣旨を答えた。

 2人は、お互い黙って顔を見合わせていた。

 お二人の師弟関係を結ばれてから実に33年という長い年月が経っていたという。

 

 このエピソードを会員に広めたのは、

      その場に居合わせた江坂先生。

で、先生は、言葉にならぬくらい大変感動し、福井門下の一人として、後世に語り継がなければならないと思ったという。

 

 そこまでして、守り通した福井宗家を思いを感じながら、宗家訓を読み返すと、また感じ方も違うのではないだろうか。