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僕の親父がすい臓癌で亡くなる2週間前、家族みんなで食事をしました。
メニューは母親が作るいつも通りのカレー。

親父は味にうるさく、出された料理にケチをつけるのが日常的で、そのことで母親と夫婦喧嘩になることも度々でした。

でもその日の久々に家族みんなでとる食事では、いつも通りのなんでもないカレーを親父はひと口食べて、
「美味いなぁ~」
と一言だけ言いました。

親父は風呂掃除なんて今まで全くしなかったのに進んで風呂掃除をし「あのスポンジはよく落ちるなー!」と嬉しそうに話してました。

なんでもとにかく楽しもうとしてました。

余命がどれくらいなのか家族には全く知らせずに。。自分一人で抱えて、ただ残された時間の中で「いつも通りを楽しもう」と思ったのでしょう。だからそのおかげで僕らも楽しく食事ができました。
だって知りませんから。

一体余命はどれくらいなのか?ちらつくことはあります。
でも死ぬなんてことを誰も望みませんから誰もそんなことを口にしません。
何より、こんなにも楽しもうとしている人が目の前にいます。
食べ飽きていたと思っていたカレーを、面倒だと思っていた風呂掃除を、他にも沢山、心の底から楽しんでいる人が目の前にいる。

僕は間違いなくこの人よりも楽しいことをする時間がある。
いや、この人だけじゃない。世の中の楽しみたくても もうそれがなかなか叶わない人々がいる。

それなら これからをとことん楽しんでやろうと思いました。絶対そうするべきだと思いました。

これが最後に親父が家族に教えてくれたことです。