ちなみに今回の表題『妻が頻繁に浮気をするのは何故か』には以下の前提がある。

それは、妻は(以下、奥さん)自身が小さい時から食卓に出された食事は全部食べないといけない、髪を切りに行く時も決まった髪型にしなければならない等、厳しく育てられた。そのため思春期は「男性にモテたい」という気持ちを強く持っていた。結婚後、中度の知的障害(てんかん)、解離性障害という診断を受けたケースです。

そんな奥さんは、旦那さん※1と出会う前から男性のところを転々としていたようで、結婚してからも、よく携帯電話をいじっていて、隠れて電話。相手は男性。旦那さんが「もうやめてね」と言うと泣いて謝るが、また繰り返す。育児放棄をして浮気。それでも許していたが、結婚11年目の春、作業所が同じ男性と仲良くなり家を出ていったというのです。(あくまで本の話)

旦那さんは、奥さんの浮気について「誰かに愛されたい、大事にされたいという思いも人一倍強く、自分を求めてくれる男性がいることで自信や満足を持てたのかも知れない。」と考えています。

この話を読んで僕が思ったのは、以下の2つです。
1.奥さんは愛着になんらかの障害※2を抱えていたのではないだろうか。親の育て方が合わないまま育てられ、旦那さんを含め、愛着※3を構成させる要素である『安心感』や『安全感』を向ける対象が家庭にはなかったのかも知れない。

2.奥さんの浮気は、エッチをしたらどうなるかという想像が難しい『認知機能の弱さ』や、褒められたらつい抑えきれなくなるといった『感情コントロールの苦手さ』、何でも思いつきでやってしまう『融通の効かなさ』、自分の問題点がわからないという『不適切な自己評価』、人とのコミュニケーションが苦手だという『対人スキルの乏しさ』といった発達上の問題から来ているのかも知れない。

例えば、発達上の問題を抱える性非行少年は、8歳までの女の子にしか興味がなく※4エッチしたいという動機よりこの子なら自分の子なら理解してもらえるという対人関係の歪みから来ているケースが多々ある。

どちらにしても、このケースは旦那さんや奥さんのご両親、福祉支援課の話し合いの機会が持たれ、1年半後、家族再統合を果たしている。

旦那さんは「不思議なことに、あの家出騒動後、妻の浮気癖は落ち着きました」と書かれている。

旦那さんの奥さんに対する深い理解や愛情があることは勿論であるが、奥さんにとって旦那さんが一緒にいれて安心したり、私のことを守ってくれる存在はこの人なんだ、という『安全基地』となれた部分も、浮気癖が落ち着いた理由ではないかと考察した。(以上)

※1 参考文献(ギリギリ限界家族)参照
※2 愛着になんらかの障害
親密な関係をもつことに消極的になったり、対人関係が不安定になりやすかったりする障害。『DSM-5』での診断名としては、辛いことがあっても相談できない反応性愛着障害(反応性アタッチメント障害)と、初対面の人にも馴れ馴れしい態度を取る抑制性対人交流障害の2つがある。
乳児と母親の愛着の質を調べる実験法としてストレンジ・シチュエーション法(エインズワース)が有名。
※3 愛着
アタッチメント(愛着)とは、乳児が特定の対象との間に結ぶ情緒的結びつき、絆のことを言う。ボウルビィの愛着理論が有名。
※4 9歳の壁(10歳の壁とも言われる)
10歳を超えると想像力が急速に発達して口達者になる。

参考文献
・限界ギリギリ家族/佐藤靖高(やすパパ)/KADOKAWA/2024年3月22日
・ケーキの切れない非行少年たち/宮口幸治/新潮社/2019年7月20日
・一発合格!公認心理師対策&予想問題集/心理学専門学校ファイブアカデミー/ナツメ社/2019年3月5日