このような言い伝えを一度は耳にした事はありませんか?

この言い伝えはどこから来ているのかと言うと、昔は現代のように家で飼われている猫は少なく、家と中と外を自由に出入りする猫がほとんどでした。

そのため、事故などである日突然いなくなったり、人の目につかない場所でひっそりと死んでいるのを見つけたりすることがありました。こうした背景より「猫は死を悟ると姿を消す」と信じられていたようです。

動物考古学者のデズモンド・モリス博士によると、「猫は自分自身の死という概念がないため、どんなに気分が悪くても自分の死を予測できない」との事。つまり、猫が身を隠す行動をとるのは体調不良による不快感から身に危険を感じる為、敵に襲われないように身を隠すのだそうです。

僕の友人の飼い猫が亡くなった時は飼い主である友人に見守られながら最期を迎えたそうです。友人は猫の鳴き声を聞いてとても切ない気持ちになった、と教えてくれました。

この本では、猫は死ぬ前に、一番安全な場所で、安心できる場所を求めると結論づけています。

ペットとして子猫のときから飼われている猫は、死ぬ前に飼い主に甘える猫が多いと言われていて、最期のときに見せる鳴き声は自身の不快感を和らげようと甘えている証拠だそうです。

つまり、友人の猫にとって飼い主である友人がもっとも安全で安心できる場所だったのでしょう。

僕自身もそれこそ小学校3年生位の頃に家で飼っていた猫がいました。普段から放し飼いで時々餌をやる程度の飼育。今思い返すと、時々家に帰ってきて帰って来ないこともあったなぁ、と。最後は納屋の中で亡くなっていました。当時は最期くらい看取ってあげたかったという想いがあったけど、あの子にとってはあそこが一番安心できる場所だったんだろうな、と。今になってそう振り返ることができました。(了)

参考文献:今泉忠明.(2022).いきものの死に方図鑑.東京.宝島社