障がい者のグループホームについて知っていますか?


 前回の記事で、そこそこ反応をいただいたので、再度この話題に触れてみることにしました。


 簡単にグループホームの歴史から。

 

 かつては家庭で世話することが困難となった方が暮らす施設は、多くの場合人里離れた辺ぴな場所にある「入所施設」でした。しかし、20134月に健常者と共に地域生活を営むを目的(地域包括ケア)とした地域移行支援事業が始まります。


 当初は、重度障害者を対象にしたケアホーム、中程度の障害者を対象にしたグループホームという区分けでしたが、20144月に「グループホーム」という名称で一本化されるのです。


 しかし、2019年末における全国の障害者に対するグループホームの供給率は僅か6%①であり、需要に対して供給が全く追い付いていない状況は今も変わっていません。


 その理由の1つとして、「障害者グループホームは儲からないから。」という声を聞きます。


 なぜ儲からないのでしょうか?


 ちなみに、障害者と高齢者の日本における人口比を考えると、高齢者の要支援要介護者が600万人に対して障害者は936万人いて、障害者の方が多いのです。


 以前は高齢者の方が多かったのですが、2004年に制定した発達障害者支援法が一因と言われる「社会的認知度」の高まりにより、障害者という認定を受けた方が増えているからだそうです。

 

 話は戻りますが、何故障害者グループホームが儲からないかというと、グループホームを始める動機に、運営者自身に障害のあるお子さんがいて、我が子の将来を案じて「自分の子を孤立させず、他所のお子さんのお世話もできるように」という動機で始める方が多かったからなのだそうです。


 NPO法人や合同会社が運営母体となっているのも同じような理由からで、大きな借入もできず、自宅改修や古いアパートを購入してグループホームにしているケースが多々あり、定員も3-4名などの小さな規模のケースが圧倒的に多い為、利益が出ない。やっている人が儲からないとボヤくからやる人が増えない。その結果、グループホームが増えず、障害者の行き場が無くなるという悪循環に陥っているようです。

 

 現在では定員が10-20人などのグループホームもチラホラと出てきているようです。私が働いているグループホームも20人には至らないですが利用者の数もそこそこ多く利益は出せているようです。


 それでも、この話をすると「営利目的で福祉をやるのは間違っていないか、」などという話を聞くことがあります。しかし、利益を伴わなければ長続きせず、最終的に支援を必要とする障害者の方が困る訳です。経営基盤をしっかりさせて、職員も経営者も、そして利用者も「三方良し」の考え方に僕は賛成です。(了)


①障害認定を受けている方が936万人(全人口の約7.4%)いて、供給率はその僅か6%程度と言われている。


参考文献:安定した収益化&社会的意義を両立

福祉施設経営のススメ/岩崎弥一(著)/20211121日第1印発行